積水ハウスのアメリカ戸建て会社買収に思うこと

積水ハウスがコロラドのMDCホールディングスを邦貨7200億円で買収すると発表しました。これで積水は全米第5位のハウスメーカーにのし上がります。これは非常によい買収となります。私はそのような業界にいるし、今も工事現場に通っているわけですが、北米の工事の特徴は大きな作業は得意だが、細かいところが全然不得手。また工種の取り合いがへたくそで日本のように4-5つの業者が同時に作業を進めることができないのです。その点で改善の余地は大いにあるのです。

カナダでも水面下で大きく動きが出ています。非公開情報なので詳述は出来ませんが、日本の住宅関連会社が攻めてきています。それも複数です。最近思うことは北米流のやり方はそろそろ陳腐化したな、という点です。日本の精度、管理技術、工程管理、予算厳守、人的クオリティなど様々な面で北米を凌駕しつつある分野が目立ってきたと感じています。日本製鉄のUSスチール買収も業界の構造改革につながるでしょう。北米のセブンイレブンもこのところようやく改善がみられ、少しは行く気、入る気になってきました。サントリーもビームス買収を梃に好調を維持しています。

これらは80年代末期の日本企業の北米への爆発的進出を想起するのですが、当時とは明らかに違います。あの頃は日本企業戦士がアタッシュケースに札束入れて「買収するでぇ!」と言って片っ端から買って行ったのです。しかし、買収したもののそれを運営する人材がほとんどおらず、撤退が相次いだのは歴史が物語るところ。しかし、今回の相次ぐ北米進出の流れは「満を持して」という感じがします。まさにリベンジのようにも感じます。そして決して敵対的ではなく、アメリカを驚かせるその手腕をニッポン魂として見せることになるでしょう。応援します。

後記 大寒波が過ぎても気温は日中もプラスに転じないまま、水曜日は大雪。道路はガラガラ、会社に人はおらず。が、私はスコップをもってマリーナの雪かき。理由はスタッフが来ないから。しかも電動雪かき機がある倉庫のカギはスタッフが持ったまま。スコップで2時間半の格闘。暑くて気が付いたら氷点下5度ぐらいなのに半袖一枚で汗をかいていて通行人から「今日はジムに行かなくても済むぞ」と冷やかされました。土地所有者が雪かきをせず、転ぶと訴訟されるリスクがあり、道路に融雪剤をまくルールもある程度決まっています。今日からようやく気温が上がり一息つけそうです。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年1月20日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

【関連記事】
「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
大人の発達障害検査をしに行った時の話
反原発国はオーストリアに続け?
SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
強迫的に縁起をかついではいませんか?