インターネット動画配信サービス『DAZN』は、浦和レッズが参戦するFIFAクラブワールドカップ2025の放映権契約を国際サッカー連盟(FIFA)と締結したことで話題に。日本および全世界で全63試合を独占無料配信するが、このクラブW杯の配信をきっかけに赤字体質を脱却する可能性があるという。
クラブW杯の放映権契約を巡っては、フランスメディア『20ミニュッツ』が2024年12月4日、FIFAとApple社による交渉決裂を伝えた上で、2034年のFIFAワールドカップ開催国であるサウジアラビアのサッカー関係者にFIFAが協力依頼した可能性を報道。同国関係者の働きもあり、DAZNとの交渉がまとまったという。
サウジアラビアサッカー界との関係性が指摘されているDAZNのクラブW杯独占配信だが、米紙『ニューヨークタイムズ』が1月15日に伝えたところによると、サウジアラビアの政府系ファンドがDAZNに対して10億ドル(約156億円)以上を出資。関係者は同紙の取材に対して、DAZNの株式を最大10%取得する寸前であることを明かしたが、DAZNはコメントを控えたという。
また記事では「DAZNはサウジアラビア方面からの出資により、50億ドル(約780億円)を超える長年の損失から脱却し、収支均衡の態勢を整える」と赤字解消の可能性も特集。DAZN買収計画の一部として、サウジアラビア国内コンテンツの無料配信、そしてクラブW杯の独占無料配信があるという。
さらに『ニューヨークタイムズ』は、DAZNとFIFAのクラブW杯放映権契約締結に至るまでの過程について「他のネットワークは、DAZNより何倍も低い金額を提示した。サウジアラビアはFIFA、特にジャンニ・インファンティーノ会長と密接な関係を築いてきた」と綴っている。
なお日本国内におけるDAZNの財政状況については、カターレ富山が2023年10月、ファン・サポーターに向けて開催した「第3回秋春シーズン制移行タウンミーティング」で議題に。同クラブが一時掲載していたタウンミーティングの報告書(現在は削除)では、「放映権料について、当初、Jリーグはダゾーンと年間視聴者数を100万人でグリップしているが、現在は40万人程度に留まっているため、ダゾーンは大赤字となっている」などと記載されていた。