国立競技場 写真:Getty Images

 1月13日、全国高校サッカー選手権大会の決勝が国立競技場で行われ、前橋育英高校(群馬県代表)と流通経済大学付属柏高校(千葉県代表)が対戦。試合は1-1で、延長に突入するも決着がつかずPK戦までもつれこむ。10人目まで続く激戦となったが、前橋育英が9-8で勝利し、7大会(第94回)ぶり2度目の日本一に輝いた。この日本一を決める緊張感の中行われたPK戦における観客の発言が、SNSで拡散され炎上する事態となっている。

 問題のシーンはPK戦のスコア3-3で迎え、流通経済大柏の4人目のキッカーとなるDF奈須琉世が蹴る直前のことだった。高崎航地主審の笛が鳴らされ場内も静まり、同選手も集中を高めていた際にバックスタンド上層の観客席から「お前どうせ右だろ右」という男性の声が響いた。その瞬間にスタジアム内はざわつき、テレビ中継でもその音声を拾う形となった。

 SNSでは観戦者が撮影した動画が瞬く間に拡散され、発言者に対して「特定して出禁にしてほしい」「高校サッカーで野次とかあり得ない」「自分が近くにいたら殴ってる」など、批判が殺到。運営側に対応を求める声も複数挙がっている。拡散された投稿には、著名なサッカージャーナリストの安藤隆人氏も反応するなど、話題を呼んでいる。

 心ない野次を飛ばされながらも、流通経済大柏の奈須はPKを左下(キッカーから見て)に決めて成功。流通経済柏のGK加藤慶太はシュートが決まった直後に、言葉を発した本人のいると思われるバックスタンド上層のほうに向かって手で煽るような仕草をした。なお、奈須は卒業後は流通経済大学へ進学することが決定しているようだ。

 明治安田Jリーグなど、プロサッカーでは観客からの野次は日常茶飯事だが、アマチュアの高校サッカーとなれば話は別だ。カテゴリーを問わず、ファン・サポーターなどの観客は選手や監督等にリスペクトするべきだろう。今後、このような野次が無くなることを願うばかりだ。