カギは店舗側のコストメリット
Pudu社といえば飲食店で配膳ロボットとして利用されている「BellaBot(ベラボット)」が有名だ。大手飲食チェーン、すかいらーくグループがいち早く全社的に導入を推進し、2022年12月時点で「ガスト」「しゃぶ葉」「バーミヤン」「ジョナサン」などグループ店舗のうち約2100店舗に約3000台を導入。店員がロボットに料理を置いてテーブル番号を入力すると、ロボットが自動でテーブルまで運んで行き、客が料理を取ると自動で厨房に戻って来る。事前にロボットに各店舗のレイアウトを学習・記憶させることで、店舗側は従業員負荷を低減でき、配膳以外の業務に人的リソースを割くことでオペレーションやサービス品質の向上を実現できるのに加え、ロボットは愛嬌のある猫型で一部を触ると声を出すなどの機能もあるため集客効果も見込める。すかいらーくホールディングスの発表によれば、ロボットの導入により、ガストではランチピーク回転率の7.5%上昇、片付け完了時間の35%削減、店員の歩行数42%削減などの効果が出たという。
一台の価格は約330万円で、約10万円のサブスクリプションプランも提供されている。
気になるのが、今回発表されたヒューマノイドロボット「PUDU D9」が飲食業界においてヒト型配膳ロボットとして使用されるのかという点だ。
「二足歩行のヒューマノイドロボットでいえば中国Unitree(ユニツリー)、 『ソフィア』の開発元である香港ハンソン・ロボティクス、米テスラなどのほうがPudu社より先行していますが、性能の高さよりもベラボットのように大規模なチェーンなどに大量に導入されるのかという点が重要になってくるかもしれません。また、配膳のみなら猫型ロボットだけで事足りるので、それよりも高価なヒューマノイドロボットが広く導入されるためには、配膳だけではなく下膳、顧客から質問を受けて回答するといった顧客対応までできないと、店舗側にとっては大幅に人件費を削減できるといったコストメリットが出ません。そうした機能を備えつつコストをかなり抑えないと、店舗側は『猫型ロボットで間に合うよね』となってしまいます」(神崎氏)
2016年に設立され中国・深センに本社を置くPudu社は、商用サービスロボットの設計、研究開発、生産、販売を手掛けており、60カ国以上に8万台以上のロボットを出荷している。レストラン、小売、接客業、ヘルスケア、エンターテインメント、製造など幅広い業界で使用されている。幅広いコア技術や約1000件の認定特許を保有している。
(文=Business Journal編集部、協力=神崎洋治/ITライター)
提供元・Business Journal
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