悪名高いCIAのマインドコントロール実験「MKウルトラ」の機密文書が50年の歳月を経て公開された――。アメリカ政府が薬物、催眠術、心理操作によるマインドコントロール技術を開発していた詳細の一部が明らかになった。

■「MKウルトラ」の機密解除文書が公開される

 昨年12月、米ジョージ・ワシントン大学の「デジタル国家安全保障アーカイブ」で公開されたのは、1953年から1970年代にかけて実施されていたCIAによるマインドコントロール実験「MKウルトラ」に関する1200件以上の機密指定解除文書である。

 米ソ冷戦時代にCIAを中心に極秘裏に行われていた一連のマインドコントロール、および洗脳実験である「MKウルトラ」の存在は、「ニューヨーク・タイムズ」紙の暴露を受けて、CIAの不正行為を調査している米国上院の特別委員会であるチャーチ委員会によって1975年に公表された。50年経った今でも、このプロジェクトの大部分は秘密に包まれたままなのだが、その主な理由はCIAが1973年に「MKウルトラ」のファイルをすべて破棄しようとしたためである。

 しかしすべてが破棄されたわけではなかった。新たに公開されたこれらのかつての機密文書は、アメリカの歴史のこの奇妙な闇に新たな光を当てている。

CIAのLSDが厚木に隠されていた!「MKウルトラ計画」の機密解除文書が公開される
(画像=機密解除されたMKウルトラ文書 画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)

「CIAはこの隠された歴史を消そうと努力したが、この粛清を生き延び、ここに集められた文書は、人間の心を消し去り再プログラムする方法を発見しテストしようとしたCIAの数十年にわたる努力の、説得力があり不安を掻き立てる物語を提示している」と国家安全保障アーカイブは言及している。

 では公開された文書にはどのようなことが記されているのか。

●「文書5」

 連邦麻薬捜査官ジョージ・ホワイトが1952年に書いた日課表の内容で、ホワイトは化学者で「MKウルトラ」の主要人物であるシドニー・ゴットリーブからCIAのコンサルタントになるよう打診されたと説明している。彼は同意し、後にニューヨークとサンフランシスコのCIAの“隠れ家”を管理し、そこで何も知らないアメリカ市民が密かにLSDを投与されるさまざまなマインドコントロール実験に関与した。

●「文書6」

 1952年のメモでは「二重スパイと疑われるロシアのエージェント」に対して記憶喪失を引き起こすことを目的とした薬物投与実験を実施し、「大成功」に終わったと報告されている。

●「文書8」

 1953年のメモには「CIA が入手したLSDのほとんどは、イーライリリー社から入手したものだ」と記されているが、CIAがこの薬物をどのように入手したかは不明であるとの謎めいた記述もある。

 さらに興味深いことに、この文書では、CIA所有のLSDが、フィリピンの首都マニラや、米海軍基地がある日本の厚木など、遠く離れた国外にある米軍基地に隠されていたことが明らかになっている。一方、前述のホワイトは精神を変容させるこのLSDの不特定量を入手していたことも記録に残されている。

●「文書8」

 陸軍化学部隊の特殊作戦部長、ヴィンセント・ルウェットが1953年に書いた手紙で、陸軍の化学者でエアロゾルの専門家であるフランク・オルソンの死に関する文書である。オルソンは、ゴットリーブらが彼のカクテルにLSDを混入してからわずか10日後にニューヨークの10階建てのビルから転落して死亡した。

 オルソンは「非常に人気があり、パーティーで盛り上がるタイプ」で、仕事では「傑出していた」と評されている。死亡する前日、オルソンは上司のルウェットと電話で話し、かなりリラックスしている」ようであったの言及が残されている。CIAはオルソンの死は自殺だと判断している。

 ともあれ公開された文書はかなりの分量であり、今後の分析でほかにも重要な証拠や言質が得られる可能性はまだまだありそうだ。史上最悪の極秘実験「MKウルトラ」という巨大なパズルのピースが1つでも埋まることを期待したい。

文=仲田しんじ

提供元・TOCANA

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