一度毀損された名誉が回復することはない
報道の公益性、公平性を考えた場合、被害を訴える側に耳を傾けるのと同じくらい、訴えられた側からも真実に近づくための情報を得ようとする姿勢が、報じる側には必要なはずだ。だが、「相手側にも耳を傾けました」というアリバイづくり程度に、期限付きで質問上を送りつけ、回答なければ記事化に踏み切ったり、いわゆる「アテ取材」を突如路上で行ったりする手法は少し行き過ぎてはいないか。
仮に、その報道が勇み足で、名誉毀損裁判でメディア側が負けたとしても、一度毀損された書かれた側の名誉が本当の意味で回復することはない。どんな著名な芸能人といえども、一人の人間だ。何をされてもいい、何をされても傷つかないという特別な人間ではない。だからこそ、何をどのように報道するかは慎重を期さないとならない。
私は常々思っていることがあって、身のほど知らずで申し訳ないが、有名無名や社会的地位など問わず、世の中に特別な人間などいないと思っている。だからこそ、どんな相手に対しても妬み嫉みという感情がない。仲のいい人間がうまくいけば、素直に喜ぶことができるし、困っていれば、一緒に悩むことだってできる。
だから、損をすることも多いし、ビジネスの芽を自ら摘むこともある。事実、週刊誌に売れるネタだっていくらでもあって、最近でも「ホリプロもあんな役者をよく在籍させているな」という話もあるが、私がそれを記事にして、ザマアミロなんて思うことはない。表沙汰になったら、その役者に関わるみんなが迷惑するし、本人にお灸を据えることは水面下でもできる。スキャンダル情報は、その相手を傷つけるためのものではなく、相手に気づきを与え、成長させるものであってほしい。そもそも週刊誌にセンセーショナルに報じさせたところで、自分自身が虚無感に苛まれるだろう。
いつか会ったら真実を伝えようと思っている相手だっている。たとえば、闇営業問題で失脚した宮迫博之氏だ。一連の報道に私は深く関与していたが、あの問題が表沙汰になる前、私は最後の最後までどうにかならないかと思案した。「FRIDAY」が取り上げる前に、宮迫氏に接触し、話し合いをもとうとしたことは某局系列のディレクターが知っている。私は後ろめたいことがないので、今は誤解されていても構わない。ただ、私の話を聞けば、宮迫氏に「そうだったんですか!」と言ってもらえるだろう。
話は、松本氏の問題に戻る。私のもとにはすでにさまざまな情報が入っている。「週刊女性」が被害を訴える女性側のLINEを公開したが、そのようなものだけではない。「週刊文春」の一方的な報道に対して、我々が一歩立ち止まり、真実はそう簡単に見えるものではないということを考えるための材料もたくさんある。
私は司法当局ではないので、この問題に白黒つける権利も能力もないが、松本氏を現時点でクロと判断してはいけないとははっきり言えるし、言っていきたい。
前述したが、私の仕事のひとつはメディアコントロールだ。それらの材料を活かし、現状を変えていくことは可能だ。だが、今はなにより、作家としての仕事が忙しい。2月に角川春樹事務所から小説『ブラザーズ』を出版し、3月は秋田書店から原作を務めるマンガ『ムショぼけ』の1巻が発売。4月には小学館から同じくマンガ『インフォーマ』の1巻が発売されるのだ。概ね書き下ろしである。
その他にも、複数の筋から出版依頼が来ている。時間がないのだ。
そんな状況を差し置いても、ここで松本人志氏を応援しなければ私はきっと後悔する。いくさは、不利な側にいたがほうがやり甲斐もある。
松本人志という天才を失うようなことになれば、テレビ局はきっと後悔するぞ。各メディアには、一方的に松本氏を叩くことが本当に正しきことか真剣に考えてほしい。少なくても、松本氏が自ら疑惑を晴らしたときには、名誉回復と活躍の場を用意してあげてほしい。ジャニーズを失った今、松本人志という芸能界の宝を失うわけにはいかない。私個人の想いではあるが、そう考える人は少なくないはずだ。
ところで自民党の裏金問題はどこに消えたのだ。本当に追及すべき問題はどこにあるのだ。つくづくメディアとは、無責任で無節操と言わざるを得ないのではないか。
(文=沖田臥竜/作家)
提供元・Business Journal
【関連記事】
・初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
・地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
・有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
・現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
・積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?