フランスでは
英国の複数の新聞はこの映画に高い評価を与えたが、フランスではどうだったのか?
仏雑誌「GQ」は「非常に雑で、不自然で、予期せぬところで笑ってしまう作品」と評し、ナポレオンの伝記を書いたパトリス・ジェニフィは、映画が「非常に反フランス、非常に親英国の姿勢で、歴史を書き換えた」と批判している。
フランスの話であっても映画で使用される言語はほとんどが英語で、主人公を演じたのは米俳優ホアキン・フェニックス、その妻ジョゼフィーヌは英俳優ヴァネッサ・カーヴィー。フランスの皇帝だった人物が米国アクセントの英語で話し、フランスの歴史的物語が英語で語られることも、フランス側から見ると噴飯物なのかもしれない。
ナポレオンを完璧な英雄ではなく、時には弱々しく、妻の不貞に傷つく一人の人間として描いた約2時間40分の映画を通して、何世紀にもわたっていがみ合い、戦争をしてきた英仏の歴史を紐解いてみるのも面白いかもしれない。
キーワード:ナポレオン(Napoleon) フルネームはナポレオン・ボナパルト。1769年、仏領コルシカ島に生まれた軍人、革命家、第一帝政の皇帝。ロシア遠征やロシア・プロイセン・オーストリア連合軍との戦争に敗れ、1814年退位。イタリア領エルベ島に送られた。翌年パリに戻り一時皇帝に復帰するが、ワーテルローの戦いで敗退し、英領ヘレナ島に流された。1821年死去。
映画の最後の方に出てくる、ヘレナ島での少女たちとの会話も見逃せない。