そして動画の場所は、ヴィクトリアの滝の「Devil’s Pool 」です

これは滝の淵にある天然プールであり、水量の少ない時期には実際に人が入ることができます。

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ヴィクトリアの滝 / Credit:Canva

周辺地域では雨季と乾季があるため、その関係で滝の水量は増減します。

増水期と渇水期では、水量に10倍もの違いがあるのです。

有名な滝は数多く存在しますが、これほど水量が極端に異なる滝は他にありません。

そして増水期には、高さ800mの水煙が立ち昇り、数十キロ離れた場所からもその水煙を確認できます。

そのため地元民族は、この滝を「雷鳴の轟く水煙」と言う意味の「モーシ・オワ・トゥーニャ(Mosi-oa-Tunya)」と呼びました。

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雨季に水煙が吹き上がる様子(1972年) / Credit:Wikipedia Commons

また、1855年にはイギリスの探検家がこの滝を見て、当時のイギリス女王の名を冠して「ヴィクトリアの滝(ビクトリア・フォールズ,Victoria Falls)」と呼び始めました。

ヴィクトリアの滝は、ユネスコの世界遺産に登録されていますが、国によって公式名称が異なるため、2つの名「Victoria Falls」「Mosi-oa-Tunya」が併記されています。

ちなみに、世界三大瀑布の他の2つは、「イグアスの滝」と「ナイアガラの滝」です。

そして落差の世界一はエンジェルフォール(落差978m)であり、幅の世界一はイグアスの滝(幅4km)です。

ヴィクトリアの滝は、これら世界一の滝と比べると、確かに落差や幅の点で劣ります。

しかし、地理的特徴や特殊な形成の点からすると、「唯一無二の滝」だと言えます。

では、なぜそう言えるのでしょうか。

ヴィクトリアの滝の形成プロセスから解説します。

ジグザグに後退していく「ヴィクトリアの滝」とその形成

絶え間なく水が流れ落ちる「滝」は、どのように形成されるのでしょうか。