買い物したくても店舗にたどり着けない“幽霊スーパー”があるという――。牛乳の配送トラックは山道で迷って遭難してしまった。いったいどういうことなのか。

■「幽霊スーパー」を目指す買い物客が静かな村に殺到

 Googleマップの「地図に載っていない場所を追加」する機能は正しく使用すれば非常に便利だが、いたずら好きの者が悪用すると当該コミュニティにとって頭痛の種となる可能性があるようだ。

 英ウェールズのデンビーシャーにある静かな村、カファスリオグ(Cyffylliog)の住民は、Googleマップ上にピンとして存在する「幽霊スーパー」を探して訪れる買い物客の流入に頭を悩ませている。

 ルーマニアメディア「Oddity Central」の記事によれば、地元の誰かが追加したと考えられているこのマップ上のピンによって、これまでに何千人もの人々が田舎の野原に導かれているという。牛乳配達トラックが幽霊スーパーに荷物を届けようとして狭い山道に迷い込み、食料品やパンを届けようとする車両や、スマホのナビゲーションに導かれてやって来た混乱した買い物客が訪れるようになったのだ。ちなみに幽霊スーパーは実在する「ALDI(アルディ)」のチェーン店である。

「『スーパーはどこにあるのか』と村民の家のドアをノックする人や、食料品を積んだ配達車が存在しない荷積み場を探していたり、さらには棚に商品を並べるために雇われたというパンのパレットを持った男までいました!」と地元の女性は語る。

 幽霊スーパーはSNSでも話題になり、その中には、「カファスリオグへようこそ。ここにはアルディはありません。デンビー(隣町)に行ってみてください」と書かれた看板をぼんやりと見つめながら買い物かごを持っている訪問者の写真や、「アルディの宝物」を掘り出す観光客の写真などがある。しかし、地元の人々にとっては愉快なことではない。

「今では日帰り旅行者や行楽客が途切れることなくやって来て困惑している」と地元の農家は記者に語り、先週は大型の牛乳タンカーが幽霊スーパーを見つけようとして狭い村の道で立ち往生したことでコミュニティの混乱が最高潮に達したのだと訴える。

「観光客がアルディを探しに来るのは別に構わない」と地元住民のダフィッド・ヒューズ氏は言う。

「でも、牛乳を満載したトラックが道路をふさいでいると、世界で何が起きているのか疑問に思うようになる」(ヒューズ氏)

 地元住民はGoogleマップからピンを削除しようと何度も試みていたがうまくいかなかった。しかし村で牛乳タンカーが立ち往生しているというニュースが広まった後、アルディの広報担当者は、同社が村に店舗を開く予定はなく、マップからリストを削除するためにGoogleと協力することを村に伝えてきたということだ。

Googleマップにしか存在しない“幽霊スーパー”を探す買い物客が静かな村に殺到
(画像=イメージ画像 Created with DALL·E,『TOCANA』より 引用)

「正直に言うと、来場した車1台につき1ポンドもらえたら、今頃自分たちでアルディをオープンさせていたかもしれない」とヒューズ氏は冗談を言う。

 マップにピンを配置した犯人を断罪すべきなのかもしれないが、穿った見方をすれば意図的な“町おこし”に活用(悪用)できる可能性が示されたのかもしれない。しかし地図が勝手に改ざんできてしまうものであるとすれば、その存在意義が根底から問われることになるだろう。フィクションが現実を揺るがす“ポスト真実”の時代はすでにはじまっているということなのだろうか。

文=仲田しんじ

提供元・TOCANA

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