デザインする自由度が狭められた可能性も
一級建築士で建築エコノミストの森山高至氏はいう。
「アリーナは外部に窓を持ちにくく、いわば暗箱のような建築物なので、単純にお椀を伏せたようなデザインになりがちですが、そこに対して触覚のようなトゲのようなものを生やすというデザインはキャッチーではあると思います。バフンウニやムラサキウニのような、もしくは王冠を被ったような形態になっています。
このIGアリーナは発注形態が変則的で、PFI事業者として名乗り出た企業が受注したものであり、その後に隈研吾事務所が参加しデザインしているため、隈氏がデザインする自由度が狭められたか、もしくは実務的にはほとんど設計が済んだ後に隈氏が木の装飾をしたという感じで『とってつけた』ようなデザインになってしまっているのが残念です。これだけの大型公共建築なら、最初に優れたデザインを中心に計画を決めて、その後に実施に移してほしかったです」
では、外観で使われている木は、何か目的・意図があると考えられるか。
「隈氏によるマーキングといった意図ではないでしょうか。愛知県が『世界の隈研吾に依頼』という免罪符を欲しがったのかもしれません。新国立競技場の屋根と同じように鉄骨の間に木の集成材をはめ込んだものか、もしくは木目をプリントした金属である可能性もあるため、一般の木材よりも耐久性はあると思います。もし露天対策をしない生の木材なら劣化は激しいでしょう。雨だれなどで汚れやすい、鳥の止まり木となり糞害が発生する、埃が溜まりやすい、掃除がしづらいといったデメリットが考えられます」
(文=Business Journal編集部、協力=森山高至/建築エコノミスト)
提供元・Business Journal
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