パナマ運河の米国管理下構想は明らかにトランプ氏らしい経済的発想かもしれない。トランプ氏はパナマが抵抗するならば軍事力を行使しても・・とまで言い切っている。軍事的強迫だ。また、「メキシコ湾」を「アメリカ湾」への改称要求に対しては、メキシコ初の女性大統領シェインバウム大統領は8日、記者会見で17世紀初頭の古地図を持ち出し、北米大陸という呼称を「メキシカン・アメリカ」に改名したらどうかと、逆提案している。
NATO加盟国の軍事費負担問題では米国を除いた加盟国31カ国で強い反発の声が挙がっている。ただドイツの「緑の党」のハベック副首相(経済相)は「GDP3.5%」に引き上げるという妥協案を提示しているが、ドイツ国内ではハベック経済相の案に対しても強い抵抗が出ている、といった具合いだ。
以上、駆け足でトランプ氏の「5つの願い事」に対する反応、評価をまとめてみた。その結果、これまた想像されたことだが、いずれもネガティブだ。
問題は、なぜトランプ氏は7日、就任式を2週間余りに控えた段階で「5つの願い」を発表したのかだ(5つの願いは同時に公表されたものではない)。ブリンケン国務長官のように「実現できないアイデア」で済ますこともできるが、それだけだろうか。
なぜトランプ氏はグリーン島の領有に拘るのか。トランプ氏は政治家前は不動産業で資産を積んだこともあって、魅力的な不動産(領土)をみればビジネス魂が疼くのかもしれない。グリーン島周辺には天然ガス、石油のほか貴重なレアメタルが埋蔵されているといわれる。その地下資源を狙って、米国以上にグリーン島に手を出しているのが中国共産党だ。手を拒めていると、グリーン島の地下資源は中国の手に落ちてしまう。トランプ氏の息子が7日、旅行という名目でグリーン島を訪れているが、もちろん、単なる旅行ではなく、近い将来の領有に向けた現地視察ではないか。
パナマ運河の場合もそうだ。米商船の通過料を安くするためのパナマ政府とのディールの手始めではない。パナマ運河の湾岸施設には香港企業が既に進出しているのだ。トランプ氏が国家安全政策のためにもグリーン島を米国が領有し、パナマ運河を米国管理下に置きたいというのは、中国の進出を抑えるという戦略的狙いがあるはずだ。