金融庁は8日、2024年8月5日に起きた株価暴落の背景について、大阪取引所から提供されたデータを活用した分析結果を公表した。株式市場での取引の活況度合いを示す「市場流動性」に関し、同7月中旬から8月上旬にかけて低下が進み、価格変動が起きやすい環境だったと指摘。この流動性の枯渇が「急激な相場変動の一因となった可能性が示唆された」と明記した。

 同庁はさらに、5日の東京株式市場では昼ごろに少数の売り手から大量の注文が入ったと説明。これをきっかけに「売りが売りを呼ぶ急激な相場変動が発生した」との見方を示した。

 同日は、日経平均株価の終値が前週末比4451円安と史上最大の下げ幅を記録。この原因について、日銀の追加利上げを受けた円高の進行などが指摘されてきたが、金融当局による実際の取引データを用いた分析は初めてとみられる。 

 金融庁は大阪取引所から、日経225先物の売買注文の価格や数量、発注主体などの詳細なデータの提供を受けて分析した。集計対象期間は24年1月4日~8月7日。

 これによると、取引が成立しやすい「最良気配価格」と呼ばれる最も高い価格での買い気配と、最も安い売り気配近辺の注文が、7月中旬から8月前半にかけて急減。いわゆる「板が薄い」状態となり、少数の注文で大きな価格変動が起きやすい状況となっていた。一つひとつの取引が値幅に与える影響の大きさを表す指標も8月前半にかけて急上昇していた。

 また5日の日中の動きでは、現物株市場の昼休み(午前11時半~午後0時半)明け直後に取引全体の中で一部の売り手が占めるシェアが高くなり、価格に与える影響も大きくなっていた。この時間帯に機関投資家など大口の売り注文が入って株価が値下がりし、他の投資家も追随したことが考えられる。(了)
(記事提供元=時事通信社)

提供元・Business Journal

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