日給は1万2000~5000円くらい

 では、現在、配達をめぐって前述のような現象は実際に起きているのか。ライターでウーバーイーツ配達員の渡辺雅史氏はいう。

「配達員のカテゴリーには自転車、バイク、軽貨物自動車の3つがありますが、特定のエリアで特定のカテゴリーだけ配達料が急に下がったり上がったりするということは、過去にもみられました。ウーバーイーツ側がエリアを限定して実験的に“どこまで配達料を下げても配達員を確保できるのか”をテストして、その結果を全国に適用するというかたちで、ギリギリのラインを探っているのではないかといわれています。実際に過去には大阪で大きく配達料が下がり、その水準が1~2年後に東京にも波及したということもありました。

 数年単位のスパンでみると配達料は減少傾向にあり、2年前は一日12時間の稼働で2万2000円くらいは稼げましたが、現在は東京だと1万2000~5000円くらいです。理由はいくつか考えられ、数年前に導入されたサブスクリプションサービス『Uber One』による実質的な価格低下が影響している面もあるでしょう」

 注文から配達までの時間が長時間化している原因は何なのか。

「はっきりとした原因は分かりませんが、配達員は複数のデリバリーサービスを常に比較しながら同時並行で使って働くのが一般的なので、他サービスと比較してウーバーの配達料が低いと選ばれにくくなります。また、スキマバイトのタイミーの普及も大きいと思います。例えばマクドナルドはデリバリーでウーバーイーツも自前のマックデリバリーも使っていますが、タイミーだと1時間後くらいからマックデリバリーの仕事に入れて時給1300円くらいのこともあります。タイミーは時給換算なので配達が入っても入らなくても1300円を得られますが、ウーバーイーツは配達しないと報酬は発生せず、また時給換算で1300円いくことはほとんどありません。さらにタイミーが優れているのは、たとえば深夜1時に業務が終了しても、その時間に口座に報酬が振り込まれる点です」(渡辺氏)