強調は引用者(與那覇)

アカデミズムへの「愛想尽かし」といえば、近日も国立大学協会が「物価高で苦しいからもっと運営費くれ」なる声明を出すニュースがあり、誰からも共感されず(苦笑)、むしろバカにされる事態になっていました。

Twitterでも歴史意識が残っている!なお正確には、磯野真穂さんは文化人類学、筒井清忠先生は歴史社会学がご専門です

現状では「今のままだと学費は値上げ」な雰囲気があり、メディア上では「見て見て私は値上げに反対ですアピール」をする教員(偽善者)が長蛇の列を作っていますが、コストを切れば大学の運営費なんてさくっと出ます。むしろ学費の値下げもできます。ぼく勤めてたから知ってるもん。

たとえば人文系に関するかぎり、大学が各教員に配る研究費って要らないんですよね。使途の制限ほかで、使い勝手が悪すぎるから。むしろ給与と統合して「使い道自由」(=各教員のポケットマネー)にするかわりに、支給総額としては下がるような形で削れば運営費も捻出され、教員と納税者の双方がハッピーになると思うのですが。

それで足りないなら、コロナの最中にあれだけSNSで「俺のリモート講義テクどうよ自慢(ドヤァ」をしていた大学の先生は、もう研究費は自前の動画チャンネルで稼いでいただけばいいんじゃないでしょうか。「在野の歴史家」の多くは現にそうしてるんだし、なにが悲しくて未知の感染リスクを増やす史料調査をコロナ以降に税金でやらなあかんのでしょうか(笑)。

究極的には、リモート講義大好きな意識の高い教員どうしを互いに競争させ、選りすぐりの配信者の授業だけを残して全大学の共通視聴科目とし、不要になる人を (2文字伏字) にすれば運営費はうなるほど余ります。増税なしでも「無償化」まで行けちゃうかも。うおおおおおコロナもインフレも「ピンチはチャンス! これが大学のニューノーマル!!」

……な話が出るかはともかく、タブーなく歴史学の現状と未来を議論する番組になればと思っております。歴史学者に縁があるか否かを問わず、多くの方にご視聴いただければ幸いです。

編集部より:この記事は與那覇潤氏のnote 2024年6月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は與那覇潤氏のnoteをご覧ください。