価格競争が激化、一案件ごとの単価が低下
税理士は現在、国内に約8万人いるとされ、競争が激しいため、資格を取得しても食べていくのが難しいという声は以前から根強いが、実際にはどうなのか。
「特にここ10年くらいは、税理士を取り巻く環境は非常に厳しくなってきていると感じます。かつては税理士業界のなかでは報酬に関して一定の相場が形成されており、どの税理士に依頼しても一律でいくらと決まっていましたが、2001年に税理士の広告規制が大幅に緩和され、一部の大手税理士法人が安値で受注するなど価格破壊を起こしたこともあり、徐々に価格競争が激しくなり、一案件ごとの単価が低下しています。それに伴って独立・開業のハードルも高くなっており、いったん独立しても食べていけなくて税理士法人などに戻るという人もいます。ですので、資格取得に数年かかることを考えると、割に合わない資格だとはいえると思います。収入面についても年収1000万円に到達するというのは、かなり難しいです」
では、独立・開業して経営がうまくいっている税理士と、苦戦している税理士の差を生む要因は何か。
「まず、紹介などを通じて積極的に人脈を形成して顧客を獲得していくという営業力が必要です。また、他の税理士との差別化を図るために経営コンサルティング能力を身につけることも重要です。税理士というのは、中小企業の経営者にとっては非常に身近な存在で、いろいろと相談を受ける機会も多いですが、なかなか有益なアドバイスを受けられないことに不満を持つ経営者も少なくありません。ですので経営の勉強をしたり、自身の事務所の規模を拡大させて経営の実務を積むなどして、経営者から頼られる存在になれるかどうかが、独立して成功できるかどうかの分かれ目になってくるのではないでしょうか」(菅原氏)
税理士という資格・仕事の魅力とは何か。
「企業から財務状況をすべて開示されて財布事情を把握でき、その上で経営者から身近な相談相手として頼られるというのは、税理士という仕事の大きな魅力だといえます」(菅原氏)
(文=Business Journal編集部、協力=菅原由一/SMG菅原経営代表取締役、税理士)
提供元・Business Journal
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