東南アジア最強を決めるASEAN三菱電機カップ2024は、1月5日にベトナム代表の3度目の優勝で幕を閉じた。大会公式サイトである「ASEAN United FC」は大会ベストイレブンや大会ベストゴールを選ぶ投票を開始。ベストゴール部門には、タイ代表MFスパチョーク・サラチャート(北海道コンサドーレ札幌)が決勝2ndレグのベトナム戦で決めたミドルシュートもノミネートされている。
シュートシーンだけ見れば、大会ベストゴールに異を唱える者は少ないだろうが、このゴールは今大会で最も物議を醸したゴールでもある。シュートが決まる数分前まで時間をさかのぼれば、これが「恥ずべきゴール」や「醜いゴール」と東南アジア各国のファンから呼ばれている理由が分かる。
問題のゴールは1-1で迎えた64分に生まれた。味方からのパスを受けたスパチョークが目の覚めるようなミドルシュートを突き刺してタイが勝ち越し。その直前のプレーでは、ベトナムのGKが自陣に味方選手が倒れこんでいるのを確認して、ボールをライン外に投げ出した。治療後、タイのスローインで試合が再開したが、味方からのボールを受けたスパチョークは、ベトナムにボールを返さずそのままシュート。不意を突かれたベトナムは対応が間に合わずに失点。ベトナムは主審に猛抗議したが、ゴール判定が覆ることはなかった。
フェアプレー精神が欠けているとして、ベトナムのみならず東南アジア各国のファンからスパチョークに批判が殺到。スパチョークは試合後、「状況をよく把握しておらずに、誤解で生まれた事故だった」と釈明した。
シュートが素晴らしかったことは間違いないが、ボールが返ってくるとばかり思っていたベトナムの守備陣は誰もプレスをかけておらず、GKも正しいポジションについていなかった。通常状態なら、そうやすやすとミドルシュートを打たせたとは考えにくく、このゴールが生まれたかも疑問だ。