「親に盗難リスクが少ない電子マネーで仕送りをしたい」「振込手数料を節約するためにQRコード決済で仕送りをしたい」といった人は少なくありません。しかし、キャッシュレス決済にあまり明るくないシニア層に「QRコード決済と交通系ICってなに?」と聞かれたとき、とっさに答えることはできるでしょうか。
人に説明することができれば自分の理解も深まるはず。そこで、人に明確に説明するためのポイントをご紹介します。
スマホが「60代9割」「70代8割」「80代前半6割」に普及
スマホはシニア層にも極めて広く浸透したデジタルデバイスとなりました。モバイル社会研究所の2024年3月調査結果によると、全国のシニアのスマホ所有率は、60代で91%、70代で83%、80代前半で62%だそう。従来型のケータイ(ガラケー)の所有率を大きく上回り、シニア層にもスマホが普及したことが分かります。
スマホの普及に伴い、従来ガラケーでは電話やメール程度しか利用していなかった層でも、スマホをより高度に使いたい高齢者の方も増えるでしょう。動画やラジオの視聴に留まらず、
・ECサイトで商品を購入してみたい
・PayPayや楽天ペイを利用してみたい
・モバイルSuicaを利用してみたい
という方が今後、次第に増えるのではないでしょうか。親族の方からすれば、いざというときに仕送りがしやすいPayPayをはじめとするQRコード決済アプリが利用できると便利でしょう。一方で高齢の方からすれば、駅やバスで便利に使えるSuicaではなぜダメなのか?と疑問に思うはず。つまりQRコード決済と交通系ICの違いは分かりづらいということです。
そこで高齢者に「QRコード決済」と「交通系IC」の違いを分かりやすく説明するためのポイントをいくつか解説します。
高齢者に「QRコード決済」と「交通系IC」の違いを説明するには?
QRコード決済と交通系ICの違いを分かりやすく説明するために抑えておきたいポイントは以下の通り。
・「送る」「受け取る」のしやすさの違い
・交通機関での利用時の利便性
・決済方法の違い
「送る」「受け取る」のしやすさの違い
たとえば、PayPayでは、携帯電話番号やSNS・メールを使って、目の前にいなくてもスマホ1つあれば簡単にPayPay残高を送る、受け取ることが可能です。24時間365日いつでもどこでも使うことができ、手数料もかかりません。
よって
・仕送りをスマホで受け取るならQRコード決済アプリが便利
・仕送りはこれまで通り銀行振込で、単にお店や駅での支払いを便利にするなら交通系ICも便利
などと伝えると、分かりやすいかもしれません。
なお、電子マネー、交通系ICの代表格であるSuicaは、基本的に中の金額を別のSuicaに移動させることはできません(払い戻しであれば可能)。つまり送金機能はないため、「送る」「受け取る」の面では、やはりQRコード決済の方が使いやすく便利と言えるでしょう。
余談ですが、J-coin payを使えばモバイルSuicaへの送金は可能です。ただし高齢の方にモバイルSuicaとJ-coin payの利用を同時に勧めるのは、ハードルが高いでしょう。
交通機関での利用時の利便性
交通系ICカードの代表格として知られるSuicaは、JR東日本、東京モノレール、東京臨海高速鉄道が発行するプリペイドタイプのICカード。電車やバスなどの公共交通機関で使用できる他、コンビニ・飲料自販機、飲食店など全国のさまざまなお店で利用可能です。
一方で、PayPayは、駅やバスなど使える場所は拡大しているものの、交通系ICと比較するとまだ及びません。 PayPayで電車に乗れる例として、近鉄の「デジタルきっぷ」がありますが、チケットの購入には販売サイトにアクセスし、SNSアカウントを利用してログイン(新規登録)が必要です。そのため慣れていない高齢者にとっては、むしろ購入に手間取る可能性もあるでしょう。
高齢の方が、キャッシュレス決済を「電車やバスに便利に乗車したい」という目的で使用する場合はQRコード決済よりも「モバイルSuica」ないしは、そもそもカードとしてのSuicaの方が直感的に使える場面も多いかもしれません。
決済方法の違い
モバイルSuicaはスマホの画面をオフにしたままスマホを決済端末にかざすだけで支払いが完了します。一方、PayPayの場合は、スマホからアプリを開き、お店側に自分のQRコードを読み取ってもらうか、お店側のQRコードを自分で読み取り、スマホ画面で代金を入力して支払いを行います。
どちらも直感的で分かりやすい支払い方法ですが、あえて言えばQRコードの表示の手間や金額の入力などの手間がある「QRコード決済」は慣れるまでは大変だと感じる方も多いでしょう。