UFO目撃の“ホットスポット”で知られるアルゼンチンの小さな都市で予定されていた「世界初のエイリアン国勢調査」とは何だったのか――。
■UFOの名所で「世界初のエイリアン国勢調査」
UFO出没の多発地帯、いわゆる“ホットスポット”の一帯の住人の中にエイリアンが紛れ込んでいると考えたとしても無理からぬところだ。
アルゼンチン・コルドバ州の北東部にある小さな都市であるカピージャ・デル・モンテもまた“ホットスポット”として知られ、UFO関連イベントも定期的に開催されている。
そのカピージャ・デル・モンテの街中で2024年12月初旬、「世界初のエイリアン国勢調査」を行うことが100枚の横断幕、100枚のポスターで告知され、路上ではパレードも繰り返し行われたのである。
いったい何が始まるというのか。この「世界初のエイリアン国勢調査」は具体的にどのようなものなのか。
ポスターや横断幕に記された文言をよく読んでみると、専用のアプリで目の虹彩をスキャンしてエイリアンではないことが証明された住民にもれなく暗号通貨が付与されるというキャンペーンであることがわかった。
この奇妙なキャンペーンの背後には、OpenAI創設者のサム・アルトマン氏とアレックス・ブラニア氏によって設立された世界的な企業である「World(ワールド)」社が存在しており、同社は目の虹彩をスキャンして生体認証データを登録することで暗号通貨を提供し、サービスネットワークの拡大を目指している。
つまりこの奇妙な「世界初のエイリアン国勢調査」は同社の登録者募集キャンペーンであったのだ。
Worldのウェブサイトによると、Worldは人工知能時代における「人間中心のアイデンティティネットワーク」の構築を推進することを目指し、インターネット上でやり取りする人々が実際に人間であることを確認するための世界的な認証システムを開発することを目標に掲げている。
しかし一部の地元住民からは生体認証データの収集は、情報の悪用、個人情報の複製、プライバシーの侵害などの重大なリスクにさらされると警鐘が鳴らされた。彼らはこのキャンペーンは住民、特に最も弱い立場にある人々を危険にさらしていると警告したのだ。
キャンペーンに反対する住民らの声は急激に高まり、地元当局はポスターや横断幕の撤去を余儀なくされた。
ファブリシオ・ディアス市長は、市は公共スペースでの広告提示の許可を与えたが、イベントの開催はいかなる時点でも許可していないと説明している。
こうした反対の声を受けて、鳴り物入りのキャンペーンにも思えた「世界初のエイリアン国勢調査」は中止となった。UFOの“ホットスポット”であるカピージャ・デル・モンテのコミュニティは“世界初”の誘惑をなんとか振り切り、キャンペーンを阻止したのである。
華やかで楽しそうなイベントやキャンペーンの裏側に往々にしてある“腹黒い”思惑や意図を見抜く力を鈍らせてはならないのだろう。
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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