「緑の党」の副議員団長であるコンスタンティン・フォン・ノッツ氏は、「マスク氏は自由民主主義を不安定化させ、極右の政党や政治家を強化することに明らかに喜びを感じている」と批判し、「ソーシャルメディアプラットフォームの影響力について議論する必要がある。ドイツはナチス政権以降、一部の政党や財政力のあるアクターが公共の言論を支配することを防ぐシステムを構築してきたが、今やそれを破壊しようとする試みがある」と警鐘を鳴らしている。
ドイツ連邦議会のSPD会派代表ロルフ・ミュッツェニヒ氏は、マスク氏の言動が独米関係に深刻な負担をもたらす可能性があると警告し、「友好国間の境界線を越えるもの」と非難した。ミュッツェニヒ氏は「トランプ氏の大統領就任後、政府は、繰り返される不敬、誹謗中傷、選挙介入が新しい米政府を代表するものなのかを明確にすべきだ」と要求。また、「我々と米国との間に負担のない関係があって初めて、国際的な課題に取り組める」と強調した。
一方、保守派連合(CDU/CSU)の議員たちは、「マスク氏の連邦大統領への攻撃に非常に驚いている」と述べている。フリードリヒ・メルツCDU党首は先週、マスク氏によるAfD支持表明を厳しく批判している。
ドイツは2月23日、早期連邦議会選挙が実施される。ドイツは現在、選挙戦中だ。世論調査では野党第一党の「キリスト教民主・社会同盟」(CDU/CSU)がトップを走っているが、極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が社会民主党、緑の党を抜いて第2党に進出している。そしてマスク氏はこれまでAfD支持を表明してきた経緯がある。
マスク氏は、独憲法擁護庁によって「極右の疑いがある」と認定されているAfDへの選挙広告を行った。それだけではない。ドイツの代表紙「WeltamSonntag」に寄稿を掲載している。
独週刊誌「シュピーゲル」誌が12月31日に報じたところによれば、マスク氏はAfDのアリス・ヴァイデル党首の周辺と密接に接触していたという。同誌はヴァイデル党首の広報担当者ダニエル・タップ氏の発言を引用し、「ヴァイデル陣営とマスク陣営は定期的に連絡を取り合っている」と述べている。また、マスク氏とヴァイデル党首との会談が予定されていることを明らかにしている。ちなみに、ヴァイデル党首は数日前、X上でマスク氏のAfD支持に感謝する「親愛なるイーロン」と題したビデオメッセージを公開している。