人類はコンピュータやGPSが発明される前から、太陽・月・星の位置、時刻、航海中の現在位置を知ることができました。
そしてそれらを測定するための「アストロラーベ」と呼ばれる特殊な天体観測器も存在しました。
これは古代の天文学者や占星術者たちに広く使用されてきたもので、「ある種のアナログ計算機」だと言えます。
現在では、その精巧さや美しい見た目から、工芸品として高い人気を誇ります。
これまでに数多くのアストロラーベが作られてきましたが、フランスの「ミディ=ピレネー天文台(OMP)」に所属する天文学者エマニュエル・ダヴースト氏は、アストロラーベのパーツを分析することで、製造年代を特定することができました。
研究の詳細は、2023年11月29日付で、プレプリントサーバ『arXiv』にて発表されています。
製造年代まで知ることができる「古代の機器」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
ここでは、古代から中世にかけて活躍した「アストロラーベ」をご紹介します。
目次
- 古代・中世に活躍したアナログ計算機「アストロラーベ」とは
- アストロラーベの構造
- 星の位置を示すパーツが製造年代を明らかにする
古代・中世に活躍したアナログ計算機「アストロラーベ」とは
アストロラーベとは、天体の高度や方位を、計算ではなく、視覚的な操作で知るための道具です。
スタンダードなアストロラーベは直径15cmの真鍮製です。
もちろん様々なタイプが存在しますが、そのほとんどが容易に持ち運びできるサイズであり、薄い円盤のような形をしています。
このアストロラーベは、現在の「星座早見盤」のルーツでもあると言われているようです。