生物にとって当たり前の行動だったとしても、自然の中でその様子を目撃することは非常に困難な場合があります。
その一例がザトウクジラの交尾の様子です。
ザトウクジラはよく知られている生物のため意外に思う人もいるでしょうが、実はまだ彼らが交尾する様子が記録されたことはまだ一度もありませんでした。
しかし米ハワイに拠点を置くパシフィック・ホエール・ファウンデーション(PWF)の研究で、2頭のザトウクジラによる交尾行動が世界で初めて撮影されたのです。
ただ、その記念すべき一例目は非常にイレギュラーなものでした。
なんと撮影されたザトウクジラはどちらもオスで、この交尾は同性同士の性行為だったのです。
研究の詳細は2024年2月27日付で科学雑誌『Marine Mammal Science』に掲載されています。
目次
- ザトウクジラの交尾を初発見!しかしどっちもオスだった?!
- 一方のオスによるレイプだった可能性⁈
ザトウクジラの交尾を初発見!しかしどっちもオスだった?!
ザトウクジラ(学名: Megaptera novaeangliae)は全長13メートル以上、体重40トンに達する巨大な海洋哺乳類です。
これまでに最も研究の進んでいるクジラの一種であるものの、意外なことに彼らがどのように交尾をしているのかはほとんど知られていません。
というのも今日に至るまでザトウクジラの交尾の正式な目撃例がなかったからです。
そんな中、写真家のライル・クラニヒフェルト(Lyle Krannichfeld)氏とブランディ・ロマーノ(Brandi Romano)氏は2022年1月、ハワイのマウイ島沖でレクリエーション旅行中に、互いに絡み合う2頭のザトウクジラに遭遇しました。
この2頭は両氏が乗っているボートのわずか数メートル先をもみ合いながら何度も旋回したといいます。
しかしクジラたちが何をしているのか分からなかった2人はその様子を撮影し、専門家であるパシフィック・ホエール・ファウンデーションのステファニー・スタック(Stephanie Stack)氏に連絡しました。