かつて鹿島アントラーズでプレーしていたブラジル人MFセルジーニョは現在、中国1部・長春亜泰に所属。以前から中国への帰化、FIFAワールドカップ北中米大会アジア最終予選における同国代表招集が既定路線と報じられていたが、ここに来て破談の可能性が浮上している。
2020年1月に鹿島から長春へ完全移籍し、長春での5シーズンにわたりプレーしているセルジーニョ。2025年1月に「中国での居住期間が5年以上」という帰化の条件を満たすが、中国メディア『トゥナイト』は10月17日に「セルジーニョが帰化の意向を固めた」と報道。『捜狐』も30日に「先週、セルジーニョ本人が帰化に同意した。帰化にむけての交渉は北京国安が行っている」と、2024シーズン終了後に長春から北京へ完全移籍する見込みであることもあわせて伝えていた。
中国サッカー協会(CFA)が帰化戦略に力を入れているだけに、2025年3月のセルジーニョ代表招集が確実視されていた。しかしFIFA(国際サッカー連盟)が12月20日に公表した選手追加登録禁止クラブリストには、北京国安の名前が。セルジーニョの帰化手続きを請け負っていた北京国安に対する補強禁止処分で、現地では同選手の帰化計画が幻になる可能性も指摘されているという。
なお中国は最終予選6試合を終えて2勝4敗。グループCで最下位も、W杯本大会ストレートイン圏内の2位オーストラリアから勝ち点1差。インドネシア、サウジアラビア、バーレーンを含めた4か国と熾烈なW杯出場枠争いを繰り広げている状況だ。
ただ一方で帰化選手の招集を巡っては、中国国内から異論も。『捜狐』は11月27日に「帰化選手はチーム全体の戦力底上げでなく、短期的にチームの弱点を埋めることもできる」とCFAの方針に理解を示しつつも、「長期的な観点から帰化選手への過度の依存について否定的な意見も飛び交っている」と指摘している。