火山噴火予測の難しさ:過去の噴火データと気候変動の影響

 しかし、火山噴火の予測には不確実性が伴う。ジュネーブ大学のストッフェル博士は、「何が起こるかを理解し始めたばかり」であり、過去の火山噴火のデータは非常に乏しいため、影響を予測するモデルの構築は困難だと指摘する。

 科学者たちは、氷床コアや年輪に記録された過去の噴火データから、過去数千年の間に地球の気温が一時的に1〜1.5℃低下したケースが複数あったことを突き止めている。例えば、1815年のタンボラ山噴火では平均気温が約1℃低下し、1257年のインドネシア・サマラス噴火は「小氷期」の引き金になった可能性がある。1991年のピナツボ山噴火では、衛星データにより、約0.5℃の気温低下が数年続いたことが分かっている。

 しかし、最新の観測機器を用いても、次にどの火山がいつ噴火するかを予測することは不可能だ。ストッフェル博士は、最悪のシナリオの研究が、噴火時の避難計画や食糧援助の準備など、対策を立てる上で役立つことを期待している。

 21世紀の噴火は、人口増加やグローバル化が進んだ現代社会に、より深刻な影響を与えるだろう。オーブリー博士によると、気候変動は火山活動にも影響を及ぼす可能性がある。氷河の融解はマグマ溜まりの圧力を上昇させ、大量の雨水がマグマに接触すると水が急速に気化し、体積が膨張することで爆発的な噴火、いわゆる水蒸気爆発が起こる可能性もあるという。

科学者らが警鐘「人類は備えなし」巨大噴火が発生したらどうなるのか
(画像=イメージ画像 Created with DALL·E、『TOCANA』より 引用)