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会社を立て直すプロのコンサルタントでも、救える会社と救えない会社があります。その違いの一つが「社長自身のマインド」であると、経営コンサルタントの横須賀輝尚氏は言います。

会社を再建できる社長とそうでない社長のマインドは具体的にどのように違うのか。横須賀氏の著書「プロが教える潰れる会社のシグナル」より、再構成してお届けします。

一発逆転があると思っている社長はうまくいかない

資金繰り、会社の立て直しって本当に地味な作業なんです。

試算表、資金繰り表、経営改善計画書の作成などは数字とにらめっこして、ただただそれを書類に落としていく作業。倒産を防ぐ最後の綱は融資なのですから、こういった作業に地道に取り組める社長は逆転できる可能性を持っています。

本当にこういうときは精神的にもキツイ。その中でも、真面目に諦めず取り組める社長が奇跡を起こします。一方で、何か一発逆転がある。あるいは、「コンサルタントにお金さえ払えば、なんとかなるっしょ」みたいな、魔法のような何かがあると思っている社長。こういう人は、なかなか逆転にはほど遠い。

ドラマや映画では、窮地に救ってくれる取引先、偶然生まれるヒット商品、足元を掬われるライバル企業……なんてのが終盤の典型ですが、現実にはそんなことはまず起きない。そういったものは物語の世界なのです。

ですから、そんな都合のいい展開はない、魔法のようなものはないと現実をきちんと受け止めて、地道に取り組める社長でなければ、逆転の道は拓けないのです。

最後まで、見栄やプライドが捨てられない

本気で会社を潰させないと覚悟したら、自宅だろうが高級車だろうが売却して少しでもお金をつくろうとするものです。

しかし、「自宅だけは」「この車だけは」と必死にしがみつき、しまいには「自宅を手放したり、車がなくなったりしたら、周りになんて言われるかわからない」と周りの評判や地位を優先させる。これでは、どんなプロがアドバイスをしても、会社はもとに戻りません。

立派な賃貸オフィスを手放し、自宅兼事務所で再起した社長もいます。いままで住んでいた戸建てを売却し、賃貸アパートから復活した社長もいます。恥も外聞もなく、全力で会社再建に取り組む社長でなければ、窮地を脱出することはできないのです。

生活レベルを落とすのは、思いの外大変なこと。自分自身の情けなさ、至らなさ、そういうことを直視し、もう一度立ち上がれる人が、逆転の可能性を持っているのです。