正しい医療情報とは

樺沢さんによると、セロトニンのメリットを話すと、「だったら、薬で増やせばいいんじやないの?」と、短絡的に考える人が必ずいるそうである。

「数十年前から使われている昔ながらの抗うつ薬『3環系抗うつ薬』とSSRIを比較したいくつかの研究では、SSRIによって引き起こされる自殺率は、3環系抗うつ薬と同程度という結果になっています。うつ病や強迫性障害の患者さんにSSRIを投与して『イライラが強まる』ということは、私も実際の患者さんで経験したことがあります」(樺沢さん)

「これはSSRIの投与を減らすか中止すれば収まります。医師とよく相談して薬を服用するのは、精神科も内科の薬も同じことです。逆に精神疾患でない人はSSRIを飲んではいけません。副作用の危険性があります」(同)

樺沢さんは、薬を飲まずにセロトニンを活性化する方法を推奨している。その方法が、朝散歩である。朝の散歩で日光を浴びることで活性化する。さらに、適度な運動や食事の際の正しい咀嚼にも効果がある。安易に薬に頼るようなことは控えなければいけない。薬の副作用や弊害についても正しい情報を習得を心がけたいものである。

本書には、人間の能力について脳のどの部分がどのように関与しているのか、強化するには何をすべきなのか、具体的な方法を学術的根拠に基づき紹介している。脳科学をベースにした新しい情報について学ぶことができるだろう。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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