新聞記者の防衛関連記事が如何にレベルが低いかという見本みたいな記事です。
日本が誇る救難飛行艇が存続危機 水陸両用「生産国有化」主張も 毎日新聞
海上自衛隊が運用している水陸両用の救難飛行艇「US2」の存続が危ぶまれている。高さ3メートルの荒波でも海面に着水できる世界で唯一の飛行艇。前身となるUS1が1976年に初出動して以来、前身となるUS1から数えると1000人以上の人命を救ってきた。しかし、コスト面などの問題に直面している。
ヘリコプターでは飛行距離が足りず、船では時間がかかりすぎる。そんな場所での捜索救助活動に力を発揮してきた。四方を海に囲まれた日本には欠かせない存在だ。たとえば2011年に沖縄県南東沖で発生した漁船火災では、日本人とインドネシア人の乗員計6人を無事救助。13年にヨットで太平洋横断を目指し、宮城県沖1200キロで遭難したニュースキャスター、辛坊治郎さんの救助でも活躍した。
では何で第二次大戦まで多用されていた飛行艇が現代では殆ど使用されていないのか、多少軍事の知識があればそこを疑問に思うでしょう。更に記事のように、海洋国家で必要不可欠であれば、アメリカや英国、オーストラリアといった国々でも何で飛行艇を作ったり、運用していないのか。
まさか神の国・本邦以外では飛行艇は作れない、他国は歯噛みして見ているからだ!とかは言わんでしょう。
でここまで書いて現実をチラと書いている。
一方で、高額な取得費がUS2の未来に重くのしかかる。最新のUS2の1機あたりの取得費は約231億円。海自が唯一のユーザーで、現行の7機態勢での運用を増やすことは難しい。退役するUS2が出なければ、新たに生産することも、購入することも難しい。
つまり詰んでいる話です。US-2や新明和の飛行艇ビジネスはオワコンであることは明らかです。事業として継続が不可能であるわけです。
防衛省幹部は「US2は、島国の日本にとって命綱のような存在。生産ラインを民間だけで維持できない場合は、防衛生産基盤強化法に基づいて生産ラインを国有化する選択もあるのではないか」と語る。【源馬のぞみ】
ここが肝でしょう。源馬のぞみ記者はお気持ちでUS-2事業というゾンビを活かしておきたい「防衛省幹部」に空気を入れられてこの記事を書いたのでしょう。まともな軍事や防衛産業の知識がないから、邪な意図で接近して記事を書かせようとした官僚の意図を見抜けずに、提灯記事を書いてしまった。