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Sean_Kuma/iStock
SNSでコメントが数多く付いているので目に留まった面白い記事があった。朝日新聞デジタルで「GDPは百年前に「逆戻り」 それでも日本は「強兵」路線に進むのか」という題名が付いていた記事だ。
GDPは百年前に「逆戻り」 それでも日本は「強兵」路線に進むのか KTF2p2BzS4
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) August 13, 2024
コメントの多くは、朝日新聞らしいトーンを題名から感じ取り、それに反応していた。ただ技術的な点に関するコメントも多々あった。
上記の記事で、2022年のGDPの国別ランクが記載されており、それによると1位アメリカ、2位中国、3位日本である(日本がドイツに名目GDPで抜かれたのは2023年)。
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朝日新聞記事より
他方、同じ記事で、2022年のGDPの大きさの関係を国旗の大きさで表現したと思われず図では、明らかに中国の方がアメリカよりも大きく、インドの方が日本よりも大きくなっている。
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朝日新聞記事より
確かに、記事中に説明がないため、二つの図の関係は不明瞭である。この点についてSNS上で疑問が呈されていた。朝日新聞はそれに反応していないようだ。
見てすぐに推察できるのが、最初の国別ランクが「名目GDP」にもとづくもので、異なる大きさの国旗を地図上に示した図は「購買力平価(PPP)GDP」にもとづくものだな、ということである。
言うまでもなく、名目GDPは世界各国のGDPをドルで統一的に比較するための指標だが、それを各年の購買力平価(PPP)のレートで米ドル換算した値が購買力平価GDPである。購買力平価GDPでは、2022年当時、世界1位は中国で、アメリカは2位、3位はインドで、日本は4位であった。2023年の世界銀行の統計で言うと、ロシアが4位に浮上し、日本は5位に落ちている。