ハマスのテロ奇襲後のイスラエルの自衛権行使は「公平」(「正義」)の原理に一致するが、ハマス側がイスラエルの建国時まで歴史を遡って「公平」を主張するならば、喧々諤々の公平論争となり、終りが見えなくなる。イスラエルとパレスチナ間の過去の紛争は文字通り、双方が信じる「公平」を前面に出した戦いだった。その結果、中東の和平は掛け声に終始し、紛争を繰り返してきたわけだ。そこでイスラエルもパレスチナ側も歴史の「公平」を前面に出すのではなく、未来に向けての「平和」の実現。共存の道を模索していくべきだという論理が出てくるわけだ。
以上、ハラリ氏の「公平より平和を」を当方なりに解釈してみた。「公平」は重要だ。「公平」を勝ち取るために人類は多くの犠牲を払ってきたことは事実だ。しかし、ハラリ氏が主張していたように、「どの国の歴史でも、ある時は加害者、ある時は被害者であった。一方だけの歴史という国はない」。「公平」を独占できる国は残念ながら存在していないのだ。
イスラエルは自衛権を行使した。今、その「公平」から「平和」にその重点をシフトする時ではないか。戦闘休止の延期がその機会となることを期待したい。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年12月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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