軽蔑に訴える論証

Appeal to contempt /appeal to ridicule

論敵への軽蔑感を根拠に論敵の言説を否定する

<説明>

「軽蔑に訴える論証」とは、軽蔑に値すると感じる論者の言説を否定する誤謬です。

[嫌悪に訴える論証]では、個人が他人に持つ負の感情として【不快 displeasure】【嫌悪 disgust】【軽蔑 comtempt】があり、その強い感情がそれぞれ、【怒り anger】【憎悪 hate】【差別 discrimination】であることを述べました。このうち「不快」は受動型の感情、「嫌悪」「軽蔑」は能動型の感情です。能動型の感情のうち「嫌悪」が相手と対等な関係を前提としている一方、「軽蔑」は相手を見下すことを前提としています。

軽蔑・差別の目的は、議論の余地なく相手の道徳的意志の劣等を確定して【拒絶 rejection】することです。特に差別は相手への恐怖に裏打ちされています。再チャレンジを認めない【キャンセル・カルチャー cancel culture】のメカニズムはここにあります。また、ライトな軽蔑表現として【嘲笑 ridicule】【冷笑 sneer】があり、「軽蔑に訴える論証」は「嘲笑に訴える論証」としばしば言い換えられます。