コンビニ経営は昭和の人間臭さありき

私が中学生の頃に住んでいた家の斜め前にセブンイレブンが出来ました。商店街のど真ん中です。当時、セブンはまだ駆け出しの新進気鋭、当時そこで、スラーピーをよく買ったものです。日本では今では幻の飲み物とか。北米ではセブンに限らずガソリンスタンド併設のコンビニでは「マスト商品」で私はハイキングの帰りにあれを一つ飲むのが癖であります。さて、家の近くのセブン、10年もやらずに閉店しました。理由は「やってられねぇ!」。売り上げとロイヤリティの計算後、手元に残るお金でスタッフの給与を払い、廃棄分を引き取る思想が馴染めなかったようです。

「コンビニオーナーぎりぎり日記」(仁科充乃著)という本を読ませて頂きました。2023年7月時点で1057日連勤の還暦過ぎの30年以上ファミマ経営している方の日記です。いやはやあの狭いコンビニで起きるドラマはすさまじいもの。そしてなぜこんな本が売れるのか、と言えば「アッと驚くそんな事件、あんな事件、おもろい客にトンデモ客」などほとんどすべてが客と店員にまつわる話なのです。つまりコンビニの商品がどうこういうストーリーはほとんどなし。店舗責任者のご夫婦の葛藤や本部やバイトの人との人間関係などウェットそのものの世界なのです。

日経がセブンも店頭無人コンビニ導入と報じ、既にファミマは30店舗に拡大したとあります。上述の様な日記はもう生まれないかもしれません。コンビニ客は終始無言で終わるものだと思っていたら著者曰く「あの人、無言で帰った」というぐらいなので場所によってはコンビニはコミュニティの集り的要素も兼ねているのかもしれません。近所にあるコンビニに行けばいつもの店員の笑顔と知った顔の客にほっとする瞬間を感じる人がいるとすれば、人材不足でどんどん機械化される社会はずいぶん味気ない気がしないでもありません。

後記 今週開催されたNPOの年次総会で勤めていた会長職から無事退きました。2年だけのお勤めでしたが変革と世代交代と活性化は達成できたと思います。理事をやってみたいと思う人もぐっと増え、そのほとんどが2-30代。NPOの活動にそんな若い人が積極参加することなんてなかなかありません。よいムードが出来て良かったです。さぁ、一区切りつけた私はこれから次の人生を歩みます。というか、既にだいぶ準備は進んでいます。リーダーシップからいよいよ自分磨きの始まりです。楽しみです。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年2月3日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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