視覚的なイメージを頭の中に思い浮かべられる人と思い浮かべられない人が存在することをご存じだろうか? 夢をあまり覚えていなかったり、呼び起こした記憶が視覚的に不鮮明な人はもしかしたら「アファンタジア」かもしれない。
アファンタジアの存在は19世紀から知られていたものの、研究されるようになったのは近年のことで、その実態はまだよく分かっていない。アファンタジアは人口の2~5%と言われているが、日常生活で不便を感じる場面が少ないため、表面化しづらいと言われている。たとえば、アファンタジアを自認している、コンピュータ科学者でピクサー元社長のエドウィン・キャットマル氏は、瞑想の際にイメージの視覚化がうまくできなかったことから、自分がアファンタジアであることに気付いたという。
また、キャットマル氏が独自に調べたところ、ピクサーのアニメーターの中にもアファンタジアを抱える従業員がいたそうだが、アニメーターとしての才能に問題はなかったとのことだ。視覚的なイメージを多用する職業でもアファンタジアの影響はほとんどないのだから、日常生活で他人がアファンタジアだと気づくことはほとんど不可能だろう。
そして、科学サイト「Science Alert」によると、アファンタジアの認知プロセスには視覚化以上の広範なパターンがあることが研究で明らかになったという。同論文は学術誌「Scientific Reports」に掲載されている。
豪・ニューサウスウェールズ大学の認知神経科学者アレクセイ・ドーズ氏らは、アファンタジアと自認する267人を含む667人の被験者に、視覚化、記憶、夢想、トラウマへの反応に関する8つの質問を投げかけた。その中には視覚的なイメージの“鮮明さ”についての質問事項もあり、もっとも不鮮明な1の「視覚イメージはまったくない。記憶を呼び起こしているということを“知っている”だけ」から、5の「通常の視覚と同じぐらい鮮明」まで5段階で評価したという。
その結果、アファンタジアを抱える人は、過去を思い出す能力、未来をイメージする能力、夢を見る能力が低下していることが分かったという。また、アファンタジアの人は夢を見ることが少ないだけでなく、その内容が不鮮明で、感覚的な詳細が少なかったそうだ。
そして、視覚的なイメージだけでなく、聴覚、触覚、運動感覚、味覚、嗅覚、感情といった感覚様式すべてにおいてイメージする能力が低下している傾向にあることも示唆されたというが、これは実際にアファンタジアだと公言しているアラン・ケンドルさんの報告とも一致している。ケンドルさんは、頭の中で音楽を再生することができないそうだ。
「最初は意味が分かりませんでした。頭の中で音楽を奏でる能力なんて私にとっては普通じゃありません。魔法みたいなものです」(ケンドルさん)
ただし、視覚的なアファンタジアを持つ人が必ずしも聴覚的なアファンタジアを持つわけではなく、アファンタジアには広いスペクトラムがあるとのことだ。さらに、アファンタジアとは反対に非常に鮮明な視覚イメージを思い浮かべられるハイパーファンタジアも存在するという。だが、まだまだ研究の少ない分野のため、これらについて分かっていることは現時点では多くない。
もし自分がアファンタジアではないかと思う人は、ニューサウスウェールズ大学フューチャーマインヅラボに登録し、研究を手伝うことができるという。興味のある方は試してみてはいかがだろうか?
提供元・TOCANA
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