ジャガー・ランドローバー本社は2024年12月10日、使用済み車両から回収したポリウレタン製シートフォームを新しいシートに再利用が可能になったと発表した。これにより、循環型リサイクルにおいて大きな技術的進歩をしたことになる。

JLR ジャガー・ランドローバー業界初のリサイクル材採用のシートフォームを開発
(画像=『AUTO PROVE』より 引用)

これは、化学製品企業のダウ社の革新的なMobilityScience(モビリティサイエンス)マテリアルと、自動車用シートの世界的リーダーであるAdient(アディエント)社との協力によるもので、循環型シートフォームを自動車に利用することに成功したのは初めてのことになる。

JLR ジャガー・ランドローバー業界初のリサイクル材採用のシートフォームを開発
(画像=『AUTO PROVE』より 引用)

ラグジュアリーメーカーであるジャガー・ランドローバーは現在、このマテリアルをすでに製造工程に投入しており、2025年初めにはプロトタイプ車両を使って大規模な使用テストの実施を目指している。

シートフォームとして使用されているポリウレタンフォームは耐久性を重視して設計されているため、リサイクルが難しいことで知られている。また、最終的な処理としては埋め立て地に廃棄され、数世代にわたり土壌に残る可能性がある。循環型のサプライチェーンを構築することで、ジャガー・ランドローバーは排出量の低減、廃棄物の削減、車両用低炭素シートフォームの安定供給を実現できるようになるわけだ。

JLR ジャガー・ランドローバー業界初のリサイクル材採用のシートフォームを開発
(画像=『AUTO PROVE』より 引用)

リサイクルフォームは新しい「循環型シート」を構成する要素のひとつとなり、高性能を維持しながらCO2e(二酸化炭素換算)排出量を半減させ、1シートあたり44kg以上のCO2eを削減できると試算されている。これは、スマートフォン約3000台を充電する電力に相当する。

これまでのクルマは、寿命を迎えた後、分解や材料の分別のしやすさについて、あまり考慮されずに設計されてきた。分別が難しい混合材料、固定方法、接着剤を使用しているため、廃棄物の削減とリサイクルは難易度が高かったが、ジャガー・ランドローバーはサステナビリティ、エンジニアリング、調達、デザインからなる分野の横断的なチームを結集することで、こうした課題の解決を目指している。

各チームは、サプライヤーやマテリアルの専門家と密接に協力しながら、「実践を通じて学ぶ」アプローチによって車両を分解し、リサイクルの障壁を理解、克服している。

そしてガラス、スチール、アルミニウム、ポリマーなどのマテリアルをサプライチェーンに戻し、高品質基準を維持しながら新車に技術的に再利用できるか検証するテストが行なわれている。

フロントバンパーに関する初期テストでは、ポリマーの使用量を減らしても同じ品質と性能を確保できることが証明され、これは単一のモデルラインで17万7500kgのCO2e削減と、56万ポンドのコスト削減につながる。このアプローチによって、ジャガー・ランドローバーは2025年から新車に低炭素バンパーを採用する計画だ。

ジャガー・ランドローバーはすでに、アルミニウム製ボディパネルのプレス加工からでる産業廃棄物をサプライヤーに戻し、新しいボディパネルに組み込むという画期的なプロジェクトにより、循環型のイノベーションに成功している。このプロジェクトには、循環型プロセスに最適な新しいアルミニウムグレードの開発など、技術革新が含まれており、これはまさにサプライチェーン間のコラボレーションによって実現されているのだ。

提供・AUTO PROVE

【関連記事】
BMW M550i xDrive (V型8気筒ツインターボ+8速AT:AWD)試乗記
マツダ3e-スカイアクティブ X試乗記 トップグレードエンジンの進化
トヨタ ヤリスクロス試乗記 売れるクルマ(1.5Lハイブリッド4WD)
ホンダ N-ONE試乗記 走りが楽しいRS(FF 6速MT、CVT、ターボ&NA)
スズキ ソリオバンディット試乗記(1.2LMHEV CVT FF)