日産の生え抜きの技術者だった関氏

 注目されているのが、ホンハイで日産の買収案件の責任者を務めているのが日産出身の関氏だという点だ。18年に会長に就いていたゴーン氏が逮捕され、19年には後任の西川廣人氏も不当な報酬が発覚して辞任。これを受け、内田社長兼CEO―アシュワニ・グプタCOO―関潤副COOによるトロイカ体制が発足したが、直後に関氏は辞任。関氏は日本電産に移り社長に就任し、22年に退任後はホンハイの最高戦略責任者(CSO)に転じていた。

「関氏は日産の役員時代にルノーとの資本関係見直し協議などのなかで、ルノー経営陣の不興を買い、ナンバー3の副COOというポストに押し込まれ、日産に残っても将来はないと考えていたとされます。加えて、日産の生え抜きの技術者である関氏としては、商社出身の中途入社である内田氏がトップに就任し、自身は中途半端なポストを与えられたことに不満があったといわれており、業界内では『事実上、日産から追い出された』という受け止め方をされています。

 関氏は立場的にホンハイでEV事業の責任者にあるので、会社の意向に従って日産への買収を進めている面もあるでしょうし、以前から日産の生え抜きである関氏は日産のトップとして同社の舵取りを担いたいという思いを持っているとみられており、そうした個人的な思いもあるかもしれません」(桜井氏)

 全国紙記者はいう。

「日産のナンバー3だった関氏が古巣を買収しようとしているわけで、前代未聞といっていい。もっとも、関氏はEVの技術とビジネスに精通していることから、ホンハイではEV事業の拡大を担うポジションにいるが、単に立場的に日産案件を任されることになっただけではないでしょうか」

(文=Business Journal編集部、協力=桜井遼/ジャーナリスト)

提供元・Business Journal

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?