ホンダ、MCリテールエナジー、Kaluza Japan、ALTNAの4社は2024年12月10日、先進的な充電制御技術を活用した、電気自動車の充電を自動で最適化する「スマート充電」に関する実証を2024年12月6日に開始したと発表した。この実証では、ホンダのEVを実際に所有するユーザーを対象に実用性・事業性の検証を行なうことになる。
カーボンニュートラルの実現に向けては、EVの普及促進とともに、再生可能エネルギーのさらなる利活用が不可欠となる。一方、再生可能エネルギー由来の電力の発電可能時間帯と実際の電力需要の間には需給ギャップが存在するため、再生可能エネルギーの活用が十分に進んでいないという課題がある。また将来的にEVの普及が進むと、夜間の自宅でのEV充電の時間帯など、特定の時間帯に電力需要が集中することで電力系統への負荷が高まることも懸念されている。
このため4社は、今後のEVの普及・拡大を見据えて、電力の需給ギャップの解消や再生可能エネルギー活用の促進、また電力系統の安定化に向けた新たなエネルギーサービスの検討を進めてきた。
今回の実証では、ホンダのEVとKaluza Japanの先進の充電制御技術を連携させ、さらにMCリテールエナジーとKaluza Japanのシステム連携を通じて、電力市場価格やユーザーのEV利用状況に応じ、最も電力調達コストが低減されるタイミングで自動でEVを充電する「スマート充電」サービスの顧客受容性、事業性の検証を行なう。
スマート充電では、電力系統の需給が逼迫する時間帯を避ける一方、太陽光発電などの再生可能エネルギーの発電余剰が発生し、電力価格が下がる時間帯を自動的に選択して充電を行なう。これにより、電力系統への負荷低減、需給ギャップの縮小に加え、再生可能エネルギーの活用促進への貢献を目指すのだ。
また、EVユーザーは自身で充電のタイミングを調整する手間がなくなるほか、EV利用に際してのTCO(Total Cost of Ownership:総保有コスト)が低減し、より快適かつ安価にEVを利用することが可能になる。
これに加え、EVの利用データを統計的に分析・反映することで、よりユーザーのEV利用動向に沿った充電サービス・電力プランの具現化に取り組んでいくことになる。
こうした実証を通して得られた知見を生かし、利用者がよりストレスなくEVを利用できる環境づくりはもちろん、カーボンニュートラル社会に向けた課題解決につながり、新たなスマート充電サービスの構築・提供を目指していくとしている。
今回の実証の対象者は、ホンダのEVを保有し、MCリテールエナジーが提供する実証用電力プランに加入する一般のユーザー(北海道・北陸・九州・沖縄地区を除く)だ。
スマート充電のサービスの概要は次のようになる。
1)実証に参加するEVユーザーは、充電を完了したい時刻をスマートフォンのアプリを通じて入力。
2)電力系統における需給状況を反映して日々決定される電力市場価格情報と、ユーザーのEV利用情報をあわせて、充電に最適な時間帯をシステムが判断し、スマート充電計画を作成。
3)スマート充電計画が車両に連携される。
4)計画に沿った充電指示を行なう。
5)EVユーザーは、実際の充電状況をアプリを通じて確認可能。
こうしたスマート充電のコンセプトは、EVが大幅に普及した段階では、国内の電力網と個々のEVが接続されることで「スマート・グリッド」が実現し、多数のEVが電力の貯蔵機能を発揮し、最適に充電することで発電の消費と需給バランスを平準化し、現在は過剰になっている夜間電力の有効活用、電力消費のピークカット、再生エネルギー発電の有効活用、そして災害に強い電力網が実現することになる。
提供・AUTO PROVE
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