政治というのは、人を動かす技術ですから、命のやり取りを含めた行動をして初めて迫力が出てくる。権謀術数をめぐらしながら筋を通すということを学びます。

それでは我が国は、時代の転機とも言える2020年代を如何にして生き残ればよいのか。既に高坂はこの世におらず、明確な指針が示されることはない。しかし3つの核保有国に囲まれ、台湾海峡での戦乱で台湾から大量の難民が海を越えて沖縄、九州にまで到達することが見込まれる今日、我が国の指導者は1990年代のように惰眠を貪っている暇はない。

故・安倍晋三元総理が国益を背負って世界を飛び回った姿を見て、日本国民は「平和を愛する諸国民の公正と信義」が当てにならないことを、身をもって知った。

国民の意識が変われば、小粒になったと言われる日本の政治家たちも覚醒し、水を得た魚のように働くはずだ。それこそ高坂が講演の中で言う「そういう政治家しか作っていないのですから仕方がありません」との国民に向けた警鐘を、国民自身が克服することになる。

高坂正堯『歴史としての20世紀』(新潮選書)

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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