ビジネスとは価値を創造することからスタートします。多くの事業家は一つの成功体験をビジネスに落とし込み、水平展開し、販売を拡充することだと考えます。飛行機でいうテイクオフから安定的な水平飛行です。ですが、大事なことはその飛行機はいつまでも飛べないのです。燃料を補給しないと失速するのと同様、ビジネスは次々と産み出す能力がもっとも問われるのです。
バルミューダという会社があります。というより3万円のトースターが話題になった会社といったほうがわかるかもしれません。同社はそれを2015年に販売し20万台以上のヒットとなります。その後、ユニーク製品を次々と発売、一時期は家電量販店にずらりと同社の製品が並んでいましたが、その後はヒット作に恵まれず株価も一時は1万円を超えたものの今は1300円程度で低迷しています。
起業する際にあまりに当初のインパクトが大きいと第2弾、第3弾はもっと大きなものにしたいし、市場もそれを期待します。それは先ほどの飛行機の例でいえばテイクオフした際、非常に高い高度まで一気に上がることでハードルが上がりすぎる問題が生じるのです。これがたぶん、現代の起業において最も困難なところなのです。
30年前ならまだ自由度はあったのです。今はヒット作を生み出すのは並々ならぬことでアップルですらたまにしかヒットが出ないのです。メタもアマゾンもマイクロソフトもグーグルも皆、同じなのです。そのために彼らは買収という手段ですでに出来上がったうまそうなビジネスを買ってくる、なのであたかも成功したビジネスとして見られるのですが、自社でそれをゼロスタートするのは極めて困難な時代になったのです。
Apple Carはそんな中で自社でゼロスタートをしたのです。「自動車ぐらいできるさ」と。
最近思うことがあるのです。「アメリカ」ー「マグニフィセントセブン」=何が残るのだろう、というこの答えがわからなくなってきたのです。おまえ、そろそろボケたのか、と言われるかもしれませんが、案外この質問は深いのだろうという気がするのです。
起業はたやすくなくなったと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年3月12日の記事より転載させていただきました。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?