フランシスコ教皇は世界シノドスでは教会の刷新として女性の登用の拡大をアピールしているが、聖職者の独身制の義務を廃止し、聖職者の婚姻を許可すべきだ。神の創造の計画に整合するためには、教会は聖職者の独身制を廃止して、「同性サークルの教会」から「家庭教会」に刷新すべきだろう。
独身制は明らかに神の創造計画に反している。野生動物学のアンタール・フェステチクス教授は、「カトリック教会の独身制は神の創造を侮辱するものだ」(オーストリア日刊紙プレッセ2018年10月3日付)と言い切っている(「聖職者の『独身制』を改めて考える」2018年10月5日参考)。
カトリック教会で聖職者の独身制議論が出るたび、教会側は「イエスがそうであったように」という新約聖書の聖句を取り出して、「だから……」と説明する。ただし、ベネディクト16世は、「聖職者の独身制は教義ではない。教会の伝統だ」と述べている。カトリック教会の近代化を協議した第2バチカン公会議(1962~65年)では既婚者の助祭を認める方向(終身助祭)で一致している。聖職者の独身制は聖書の内容、教義に基づくものではない。教会が決めた規約に過ぎないことをバチカン側も認めている。
キリスト教史を振り返ると、1651年のオスナブリュクの公会議の報告の中で、当時の多くの聖職者たちは特定の女性と内縁関係を結んでいたことが明らかになっている。カトリック教会の現行の独身制は1139年の第2ラテラン公会議に遡る。聖職者に子供が生まれれば、遺産相続問題が生じる。それを回避し、教会の財産を保護する経済的理由があったという。
繰り返すが、バチカンは同性カップルへの神の祝福を認可するだけではなく、さらに一歩進め、同じ「不規則な状況にある」“聖職者の独身制の義務”を放棄すべきだ。聖職者の未成年者への性的虐待問題も案外、独身制の廃止が大きな効果をもたらすかもしれないのだ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年12月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿 を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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