北朝鮮は今年5月、軍事偵察衛星の打ち上げに失敗、2回目も同様だったが、それを3カ月余りの時間で、打ち上げに成功し、画像撮影にも成功するということは通常の開発プロセスとは言えないから、韓国の情報機関・国家情報院(国情院)はロシア側の技術的支援があったと推測している。
北朝鮮の軍事偵察衛星の打ち上げは国連安保理決議違反に当たるが、27日に招集された安保理会合ではロシアと中国が反対したために、何の対応も取れずに終わったばかりだ。
参考までに、米国の軍事偵察衛星(通称キーホール)の解像度は15センチともいわれているが、実際は5センチまでの解像力を有するという。キーホールは金正恩氏の官邸執務室はいうまでもなく、金氏の国内の複数の保養地も写真撮影しているはずだ。金正恩氏は米偵察衛星キーホールの目から逃れることはできないのだ。
キーホールの威力はロシア軍がウクライナに侵攻する際も実証された。米国はロシア軍の動向を偵察衛星からの写真でキャッチし、同盟諸国にロシア軍侵攻の可能性を数日前に警告していた。
北の偵察衛星がホワイトハウスの写真を撮影したことを金正恩氏が喜んだというニュースを聞いて、ホワイトハウス関係者は多分、笑いを禁じ得なかったのではないか。米国の軍事偵察衛星は24時間、金正恩氏の執務室を監視し、撮影し、その画像をホワイトハウスに送っているからだ。
北の偵察衛星がキーホールと同程度の地上分解能を得るまでにはまだ多くの時間が必要だろう。ただし、近未来の話だが、北の衛星能力が向上すれば、敵国、特に、米国の軍事偵察衛星への宇宙戦を仕掛けてくるはずだ。その結果、北朝鮮問題は地上から宇宙空間へと舞台を広げていくことになる。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年11月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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