乃木神社での初詣を終え、六本木の東京ミッドタウンにやってきました。

東京ミッドタウンの麓はミッドタウンガーデン、檜町公園といった緑地が整備されています。高層ビルの多い六本木の中のオアシスといったところでしょうか。

影が映りこんでいるのはご愛敬。

そんなオアシスの中に鳥が羽を広げたようなデザインの建物が佇みます。これが「21_21 DESIGN SIGHT」。英語で優れた視点を持つことを20/20 Sight(もとの意味は両眼視力2.0)といいますが、ここはさらにその先を見通す場という気持ちを込めて名付けられた美術館です。日本を代表する建築家、安藤忠雄氏のデザインです。

いまここで行われているのは「もじ イメージ Graphic 展」。文字の見せる芸術の世界にどっぷりとつかれる企画展です。

漢字や仮名の使い分けや、縦横自在の書字方法、ルビといった独特の表現方法をもち、文字とイメージの混ざり合いのなかで発展してきた日本のグラフィック文化が、グローバルなデジタル情報技術とどう向き合い、何を生み出してきたか、そして今どのような可能性をみせているかを「造形性」「身体性」「メディア」「マテリアル」のような13の現代的テーマに分けて紹介します。

21_21 DESIGN SIGHT ホームページより。

わたしは小さいころからどういうわけか絵よりも文字が好きでした。幼稚園でお絵かきしましょうと言われたのに文字を書いて先生にど叱られるような子供でした。難しい漢字を覚えるのが大好きでしたし、今、こうして文章を書くことが好きなのも文字が好きなことの延長線上にあるのかもしれません。そんなわけで東京に来るタイミングでこの企画展は見てみたいと思っていました。

外観は平屋建てでしたが展示室は地下にあります。打ちっぱなしの空間は地下空間でありながら明るい自然光が注ぎます。

本の顔というべき装丁。本のタイトルをどのようなフォントでどのような大きさで、どのような形でならべるかで本の印象はがらりと変わってきます。文字選びは本の顔を決める大切なポイントの一つです。

漫画のタイトルも同じ。特に漫画の登場人物のことをキャラクターといいますが、「文字」のことも英語でキャラクター。その漫画、登場人物にあった文字「キャラクター」が選ばれ物語の世界で一体化していきます。

文字はブランドイメージを作るのにも重要なアイテムです。「niko and…」のフォント自体はよくみかけるセンチュリーゴシックのボールドでありあまり斬新さは感じませんが、このブランドが提供するスタイルによって「自分らしさ」を表現することができる。このロゴの…のあとにオリジナリティあふれるキャラクターが待っているのだということを表現していると思いました。

突然ですが問題です。これは何でしょう。漢字っぽくて漢字じゃない。この配列どこかで見たような…

これは五十音表。右上の字にはカタカナの「ア」、その下の字には「イ」が隠されています。漢字っぽい造形の中にあるカナで五十音表を作っています。文字はこのような遊び方でアートを作ることもできるのです。

近年は均一的なデジタルフォントが町を埋め尽くしていますが、昭和の時代は人の手によって造られたアナログのデザインが街にあふれていました。近年ではそのレトロな雰囲気がかえって斬新に感じられるようで再び注目を集めています。街を歩いていてもこういう看板見ると思わず写真撮ってしまいますね。