その一方で、こういった日本人の特性には長所もあります。
震災や台風といった災害が起きた場合は、いちいち細かいところを文書化したり、説明しなくても、皆が自然に理解します。
避難したり、物資を分けたりなど、集団行動がうまくできます。
また人の関係が深く地域社会がまだまだありますから、こういった災害が起きた場合の人探しや復興の連携等が非常にスムーズに進みます。
地域の人や学校会社の人などがある意味延長された親戚関係の様な感覚なので、あまり争うこともありません。
日本人の特性と言うのは、文化人類学者や社会学者がこれまで指摘してきたように、気候や災害が作り上げてきたものです。
特に昭和40年代位までは交通が発達しておらず移動が難しかったですから、故郷にとどまる人が多く、村の中で農業をやって生活していくのには集団で行動し、波風を立てない方が食料生産に有利であり、自己の生存確率を高め、地域の発展に有利だったわけです。
日本も他の国のように多様化が進み、都市化が進んできたわけであります。
しかし、気候が変動し、各地で紛争が起きており、非常に社会が不安定な今日本人の短所と言うのは、むしろ長所として良いほうに働くのではないでしょうか。
北米や欧州は、多様化のやり過ぎで疲弊している地域も少なくありません。
多様である事は交渉をしたり、言うことを聞かない人を取りまとめるなど、様々なコストがかかり、組織や地域にとって負担のかかることも事実であります。
私はテレビの地震速報に釘付けの息子に伝えました。
「日本はこれが毎年のように起こるから常に災害に備えているんだよ。避難訓練も頻繁にやるから誰もが列に並べるの。話をよく聞く人が多いの。皆で協力し合うの。ものを分け合うの。イギリス人や新興国の人達のように、自己中でルールを守らない人ばかりでは生きていけない土地なの。災害が日本人の性格を作ったんだよ。」
日本の隣国や新興国出身の我儘な同級生達や地元民に悩んでいる息子は静かに頷きました。
誰もが阿吽の呼吸で周りを理解し、迅速に集団行動が取れるのも、実は効率的である社会として評価されるべきだと考えます。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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