- 購買力平価換算による国際比較
それでは、1997年と2021年の購買力平価換算による水準も国際比較してみましょう。
まずは1997年からです。
図5が1997年の労働時間あたり雇用者報酬について、購買力平価換算値の比較です。
日本は16.0ドルで、OECD平均値を超えますが順位としては中位ですね。イギリスと同じくらいではありますが、G7中最下位となります。
購買力平価によるドル換算値は必ずしも実態を正確に表しているとは言い難いと思いますが、当時の水準としても相対的に低かったことが言えそうです。
図6が2021年のグラフです。
日本は28.3ドルで、OECD33か国中21番目で、G7最下位、OECD平均値を大きく下回ります。明らかに1997年当時よりも国際的な立ち位置が低下している事がわかりますね。
フランスやドイツ、アメリカは高い順位を維持しています。
- 日本の労働時間あたり雇用者報酬の特徴
今回は平均時給に相当する労働時間あたり雇用者報酬についての国際比較をしてみました。
労働生産性もそうですが、日本は時間あたりの指標だとかなり順位が低下する傾向にあるようですね。
他国と比べると相対的に労働時間が長く、低い生産性や時給でも長い時間働く事で年間のボリュームを賄っているような印象を受けます。
最近では先進国の平均値未満が続き、他の先進国の水準とも大きく引き離されつつあるようです。
働き方や能力というよりも、対価の付け方に課題があるように見受けられます。
皆さんはどのように考えますか?
【参考】 平均時給今回は、次回以降ご紹介する産業別の労働時間あたり雇用者報酬を見据えて、全産業の労働時間あたり雇用者報酬を取り上げました。
賃金・俸給を総労働時間で割った労働時間あたり賃金が、本来は平均時給と呼ぶべき指標と思います。
ただし、日本は産業ごとの総労働時間が公開されていないため、平均時給に相当する指標として労働時間あたり雇用者報酬としました。
全産業の総労働時間は日本でも公開されており、平均時給を計算できますので、参考資料としてご紹介します。
基本的には労働時間あたり雇用者報酬と同じような傾向です。
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2023年11月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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