第2章では、歴史学者である辻田真佐憲氏が『主計将校』を、文化人類学者の小川さやか氏が『ハイソサエティ』をプレイするようすが寄稿されている。また6名の異なる分野の気鋭の研究者がボードゲームをプレイする経験を論じており非常に興味深い。彼らはそれぞれのアカデミックで専門的な知識で、ボードゲームに思想的な意味づけを行っている。

第4章では、與那覇氏による「人狼」を中心にボードゲームがわれわれになにを考えさせるのか、自身の「人狼」をファシリテート(司会進行)した経験を通じて、ボードゲームが「勝敗を気にする遊び」から「民主主義」へと変化する過程が描かれている。同じメンバーで長期間プレイを続けることで、お互いのことをよりよく理解し、共感し合うことによって、ゲームプレイを楽しむ方法を見つけていくのである。

5章では小野卓也氏が「え!と驚くテーマの作品」を少なからず取り上げ、あまりに多様なボードゲームの世界を紹介し、全体を締めくくっている。

本書は、ボードゲームの社会的な価値や可能性について考えさせられる、価値ある一冊である。是非一読してボードゲームにチャレンジしてみてください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

【関連記事】
「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
大人の発達障害検査をしに行った時の話
反原発国はオーストリアに続け?
SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
強迫的に縁起をかついではいませんか?