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経営者をサポートする士業と呼ばれる専門家がいます。難関資格を保有する専門家として尊敬を集める一方、同じ資格保有者でも仕事内容や方針、そして能力も当然異なります。

「プロ士業に良い仕事をさせるためには、士業が気分よく動けるように接すると良い。」

そう語るのは士業向けの経営コンサルタントで自身も士業(特定行政書士)である横須賀輝尚氏。同氏の著書「プロが教える潰れる会社のシグナル」から、プロ士業の見抜き方を再構成してお届けします。

プロ士業の見抜き方を再構成してお届けします。

「先生」という曲者呼称

士業の世界は、「先生」と呼ぶ世界であり、呼び合う世界でもあります。なかなかこれは不思議なもので、「尊敬されるから」先生と呼ばれるわけでもないのには注意が必要です。

まず、業界的には業歴のあるベテランでも開業したばかりでも基本的には「先生」と呼び合います。私が開業した当時の年齢は23歳。社会人経験もゼロの頭に殻をかぶったヒヨコです。それでも、「先生」と呼ばれました。まあ、正直それは気持ち悪いと思いましたけど。

だから、まずは「先生」と呼ばれているから、実力・経験ともに優れているわけではないということは押さえておきましょう。

ただし、最近は「先生」と呼び合わない層もいます。これは、比較的若手と呼ばれる人たちに多い傾向です。逆の視点でみれば、「先生」と呼ばれないからといって、実力がない。そういうわけでもないことも、やはり押さえておくべきでしょう。

そういう意味では、「さん」付けで呼ばれているか、「先生」で呼ばれているかで士業の実力を見抜くことは不可能ということになります。

それより重要なポイントは、あなたが士業に接したときにその方をどう呼ぶのがベストかということ。最初は「先生」と呼ぶのが無難です。やはりプライド種族ですから、先生と呼ばれて悪い気がする士業はほとんどいません。ですから、効果的に士業を活用したい場合には、まずは「先生」呼称から入るべきです。

そして、打ち解けてきて実力を理解したら、「もう、先生と呼ばないでください」とでも言われれば、「さん」付けに変える。こんな流れがベストでしょう。

ちなみに、執拗に「先生と呼ばないでください」という層も一定数存在します。こういう人たちは、絶対に呼ばせてくれません(苦笑)。ただ、その理由が「自信のなさ」から来ているものであるとすれば、その士業には依頼すべきではないでしょう。

結局のところ、呼称だけで見抜くことはかなり難しいのですが、このような背景だけは、知っておいてください。

さらに曲者のバッジという存在

士業にはそれぞれバッジがあります。有名なのは弁護士の「天秤」が刻印されたバッジですね。結構大きいので目立ちます。スーツを着てバッジをつける。これが士業のスタンダード衣装です。

基本的にはバッジをつけることが、業界的には推奨されているのですが、中には付けない人もいます。私も最初の頃数回付けただけで、いまは机の中。まあ、スーツ来て仕事をしないってのもありますけど、このようにつける人たちと付けない人たちがいるのです。

いずれにせよ、バッジをつけているかどうか、というのは士業の見極めの参考にはあまりなりません。プロ士業にとっては、ある種どうでもいいものなのです。プロ士業は、バッジが士業を証明してくれるとは思っておらず、自分の実力がそれを証明してくれると考えています。ですから、バッジを付けているかどうか、というのは参考になりません。

ただし、要注意がこちらからバッジの話を振っていないのにも関わらず、バッジの話をする士業。これは、実力がない、自信がないところから証明書替わりのバッジを見せつけたい。あるいは、士業は上級国民的、選民思想的に考えている人がする話題です。

ですから、「このバッジ見たことあります?」みたいな話題を振ってくる士業は断るのがベスト。正直、あんなバッジ資格さえ取ったら数千円で買えるものなので、その程度の価値なのです。

ちなみに、ひとつの目安としてバッジをつけている士業にできる質問があります。それはこんな質問です。

「先生、最近はバッジをつけていない士業も多いと思いますが、先生はなぜバッジをつけているのですか?」

という質問です。これに対して「一応…」とか「決まりなので…」というのは、考えていない士業。プロ士業でない可能性があります。そうではなく、「プロですから」というような趣旨が返ってきたら、プロ士業である可能性が高いと考えてもいいでしょう。「プロですから」っていうのは、自信がないとなかなか言えないことですからね。