白河上皇は平安神宮周辺に法勝寺を建て、堀河天皇が尊勝寺、鳥羽天皇が最勝寺、鳥羽天皇中宮持賢門院璋子が円勝寺、崇徳天皇が成勝寺、近衛天皇が延勝寺という「勝」という字がつく六つの寺を建て、これらは六勝寺と総称された。これらは法皇たちが住み政治を行う御所でもあった。
特に1128年建設の法勝寺の八角九重塔は、81メートルあったとされ、再建してほしい建築物の筆頭に挙げられる。市立動物園の中に土壇があったが、駐留米軍によって破壊され、花崗岩の礎石は池の石橋に転用されてしまったのは残念だ。
明治になってできた琵琶湖疏水は、最初は舟の便も重宝されていたが、蹴上げの下船場で78メートル、動物園の横では42メートルの落差を利用して水力発電が行われ、市電が走った。南禅寺から北白川にかけては琵琶湖疏水の支線が山沿いを北上している。水車を並べて工業地帯にしようとしたが、電力の時代になって水車小屋は不要となり、庭園に水を引き入れて利用することに切り替えられた。
山縣有朋が南禅寺に無鄰菴という別荘をつくったとき、英国風の自然豊かな庭を日本風に再現したいと考え、東山を借景にして水が流れる庭を造るよう指示したのが小川治兵衛である。山縣の信頼を得た小川は平安神宮外苑の庭も設計し、さらに野村別邸や対龍山荘といった名作を残した。
■
岡崎は素晴らしいグルメの宝庫である。無隣庵の隣の三つ星・瓢亭をはじめ高級店も多いが、ここでは観光客が気軽に寄れる日本料理以外のいくつかを紹介する。
平安神宮の西隣の道路に面したLA VOITUREのタルトタタンは日本で食べられる最高のフランス菓子の一つ。
平安神宮より西の疏水に面したセクションドールのタンドリチキンもいい。