野村證券は、来年4月から個人向け部門の名称を「営業部門」から「ウェルス・マネジメント部門」に変更するそうです。
富裕層をターゲットに絞って営業するのだと理解しています。しかし、富裕層ビジネスを継続するのは、部門名を変える程度のことでうまくいくほど簡単ではありません。
まず一般の消費者と富裕層の違いを理解する必要があります。
富裕層は高くても良いものならお金を払いますが、価値を感じないものには、安くても興味を示しません。
つまり価格競争で安売りするだけでは、通用しないということです。価格だけではなく、価格以外の他社との差別化が必要です。
また、富裕層は不満があっても表立ってクレームすることはありません。「金持ち喧嘩せず」です。これは、例えば富裕層が集まる高額なセミナーより、誰でも参加できる無料のセミナーの方がクレームが多いことからも明らかです。
クレームしないから満足しているとは限りません。富裕層は文句も言わず静かに去っていくので、そもそも問題があったのかどうか、あったとしたらどこにあるのかを知ることが難しいのです。
更に、富裕層は横のネットワークが強いのも特徴です。狭い社会でつながっているので、悪い情報は口コミで一気に広がってしまいます。
このような人たちを相手にして、本質的に価値のない商品やサービスを提供しているだけでは、価値を実感してもらえず、いずれ顧客は離れていきます。
ワインやウイスキー、貴金属、高級車といった嗜好品を提供するような富裕層ビジネスの場合、移り気なメンバーを満足させ続ける新しいコンテンツの提供が必要です。
また、顧客獲得ノウハウや投資情報のような実利を提供する場合は、コストに見合った結果が継続できるかどうかがポイントです。