ところが困ったことに、上に引用した訴訟の事例に介護業界は戦々恐々となるだろうから、今後こぞって(訴えられたら困るから)ミキサー食に力を入れるようになるかもしれない。しかし「スムージー状ハンバーグ」や「鮭のムース」なんて食欲がそそられない(泣いてしまう人がいるくらいなのだから)。
本人が一日三食ドロドロやペースト状でも全く気にしていないなら話は別だが、それを嫌がって普通に食事をしていて万が一亡くなるようなことがあったら、それはその人の寿命だったとみなすべきだと私は思う。さもなくば介護業界は人手不足と現職スタッフの疲弊で、日本の社会保障は財源不足で崩壊するだろう。
(※ 本論説は私個人の意見であり、日本尊厳死協会の公式見解ではありません。)
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田尻 潤子 翻訳家。日本尊厳死協会会員。訳書に『「敵」に居場所を与えるな』(ルイ・ギグリオ著)がある。ウェブサイト:tajirijunko
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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