経済産業省は17日、次期エネルギー基本計画の原案を公表した。2040年度の電源構成について、再生可能エネルギーを最大の4~5割程度、原発を2割程度とし、両電源を脱炭素化に向けて「最大限活用する」と打ち出した。原発に関してはこれまで堅持してきた「可能な限り依存度を低減する」との記載を削除、建て替えを推進する方針も盛り込んだ。

 二酸化炭素(CO2)を排出しない脱炭素電源の供給力を強化し、今後見込まれる電力需要の伸びに対応する。東京電力福島第1原発事故以来の原発・エネルギー政策が大きく転換することになる。

 経産省が同日、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の有識者会議で原案を示した。資源エネルギー庁の村瀬佳史長官は席上、「電力需要増加が見込まれる中、脱炭素電源を確保できるか否かがわが国の経済成長に直結する」と強調した。次期計画は来年2月にも閣議決定される見通しだ。 

 原案では、データセンターや半導体工場の新増設に伴い、現在1兆キロワット時弱の発電量が40年度に1兆1000億~1兆2000億キロワット時に膨らむと試算。電力需要を賄う電源として、再エネを30年度目標の36~38%から4~5割程度に引き上げる一方、火力発電などは42%から3~4割程度に減らす。 

 事故前に発電量の約3割を占めた原発は、2割程度の水準を維持する。再稼働が進まず、23年度実績は8.5%にとどまるが、「必要な規模を持続的に活用していく」と明記。廃炉を決めた原発敷地内に限定していた建て替えを、同じ電力会社が持つ他の原発敷地内でも可能としたほか、次世代型原発の開発方針も盛り込んだ。

 再エネは軽量化が可能な「ペロブスカイト太陽電池」など次世代技術で導入拡大を図る。火力はCO2排出削減のため水素・アンモニア燃料などの活用を進める。ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢緊迫化による資源価格の高騰を踏まえ、「特定の電源や燃料源に過度に依存しないようバランスのとれた電源構成」も目指す。(了) (記事提供元=時事通信社)

提供元・Business Journal

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