ドライバーであれば誰しも、事故のリスクは避けたいものでしょう。しかし自分自身がいくら安全に配慮していても、「もらい事故」に遭う可能性をゼロにはできません。
「こちらに過失がないのであれば、相手から補償してもらえるし……」と考えてしまうかもしれませんが、相手にゴネられ交渉に苦労する、といったケースも少なくないようです。
今回はもらい事故に遭ったドライバーの経験談から、「事故後に相手に開き直られた」というエピソードを紹介します。
目次
加害者の常套句「この程度で大げさな」
「ドライバーとしての責任」を放棄する加害者
加害者の常套句「この程度で大げさな」
こちらに過失がない事故のなかでも、身近なものとして「駐車場でのドアパンチ」が挙げられます。被害者が車を離れていることも多いことから、しばしば「当て逃げ」の被害が報告されるドアパンチですが、被害者が居合わせている場合にも厄介な状況に発展するケースがあるようです。
「スーパーで買い物を終え、車に乗って出発しようとすると、ちょうど右隣のスペースに止めようとバックしてくるセダンが。とりあえずそのまま、助手席の70代くらいの女性が降りるまで動かずにいたんです。
それで、向こうがドアを開けた瞬間、こちらの運転席にコツンと小さな衝撃がありました。
女性は気づいていないのか、運転していた男性と店に向かおうとしていたので、急いで外に出て『ぶつかりましたよ』と声をかけたんです。ボディを見ると、やはり少しヘコミができていました。
2人とも不思議そうな顔をして、事態を把握できていないようでした。説明すると、女性の方は『あら、ごめんなさいね』と謝ってきたのですが……。念のため警察を呼ぶと伝えると態度が豹変し、2人して『何を大げさな』『ちょっとぶつかっただけじゃない』とまくし立ててきたんです。
構わず警察を呼びましたが、待っている間もずっと『予定が台無しだ』とか『なんでこんな古い車に』とか『ほかにもキズあるじゃない』とか。女性の方は、到着した警察官に『こんなことで呼んでごめんなさいね、忙しいのに』とあてつけのように話していました。
かなりイラッときましたけど、警察の方が『いえ、これも事故ですので、届け出るのが義務です』と返してくれたので、少しスッキリしましたね」(40代女性)
ドアパンチは加害者にとって「ちょっとしたミス」と思われやすく、またキズやヘコミも軽微であることが多いことから、加害者側が「警察を呼ぶほどじゃない」と開き直るケースもあるようです。
しかしどんなに小さな接触であろうと、事故が起きたことに変わりはありません。事故が起きた際の通報はドライバーの義務ですから、被害の程度にかかわらず、接触が起きた際には必ず警察を呼ぶようにしましょう。
「ドライバーとしての責任」を放棄する加害者
交通事故のなかでも、かなり多く発生しているのが「追突事故」です。例年警察庁が発表している「交通事故の発生状況」という統計では、全交通事故のうち3割程度が追突によるものとされています。
被害者側が停止していれば、基本的に加害者側の過失が100%となる追突事故ですが、「申し訳ない」という態度がまったく見られない加害者もいるのだとか。
「信号待ちで停車中、いきなり後ろから衝突されました。一瞬何が起きたかわからず、バックミラーを見ると後続車のボンネットがありえない近さに映っていて、追突されたことに気づきました。
とりあえず車を路肩に寄せて、外に出たんですけど、相手はまったく車から降りる気配がありません。運転席に座っていたのは若い女性で、こちらには一切目を向けず、どこかに電話をかけているようでした。
待っていてもしょうがないので警察に電話をして、20分ほどして2人の警察官が到着すると、ようやく女性が降りてきて。別々に話を聞かれましたが、向こうは『急に止まられた』と話していると。当然その場でドラレコの映像を見せて、濡れ衣は避けられましたが……」(50代男性)
事故の当事者となったドライバーは、警察に通報する「報告義務」を負うほか、相手側の被害を確認して救護活動にあたる「救護義務」を負います。そのため上のケースでは、加害者はまず被害者側の乗員に怪我などがないかを確認する必要があるでしょう。
車を運転する以上、「事故を起こしてしまった際の責任」はつねに意識しておくべきものです。相手側の被害を確認し、必要に応じて救護活動を行い、また警察の実況見分においては誠実に回答するなど、責任ある行動が求められます。