三菱UFJ銀行の貸金庫から当時の行員(今は元行員w)が顧客の保管物である現金や貴金属を盗んでいた事件は、被害顧客が約60人分で被害総額は十数億円と報じられています。

winhorse/iStock

実行犯は店頭の業務責任者だった行員で、2020年4月から4年半にわたり練馬支店(含旧江古田支店)、玉川支店の2支店で貸金庫を無断で開けて顧客の資産を繰り返し盗んでいたそうです。

責任者であれば単独で貸金庫に立ち入りが出来、スペアキーを使って簡単に顧客の金庫を開けることができたという管理体制には驚きます。スペアキーは封筒に入れて顧客と銀行の割印をしていたそうですが、その程度では実効性はありません。

貴金属や不動産の権利書といったものであれば、盗んだとしても売却などで足が付く可能性がありますが、問題になるのは現金です。

貸金庫の利用規定には現金は預けられないと書かれているようですが、中身をチェックしないのですから預けられていてもわかりません。

金利が付かず貸金庫利用料もかかる貸金庫の敢えて現金を入れておく理由は、外に出せないお金だからと考えるのが自然です。脱税資金などが入っていれば、行員によって盗まれたとしても被害届けを出すことが出来ず泣き寝入りになってしまいます。

今回の事件以外にも現金が無くなって、申告できず泣き寝入りしている貸金庫利用者がいるはずです。

今後貸金庫の運営方法について各金融機関が見直しを行い、厳格なチェック体制になって行員の不正が行われにくくなるでしょう。

特に現金の預け入れに関しては厳しく制限され、銀行側が貸金庫に預け入れるものについて事前にチェックする体制に変更される可能性が高いと思います。

貸金庫ビジネスは金融機関にとっては収益的にはうまみは無く、大口顧客へのサービスという側面が大きいと思います。今後は管理の厳格化だけではなく、貸金庫の縮小・廃止が進むこともあり得ます。