「当日朝まで来るかどうかわからない無資格ベビーシッターが1時間5000円、親は外出もできない」という自由労働市場では生き残るとは思えない粗悪なサービスでも、「(助成金で)無料」となれば「タダなら頼んでみるか」という家庭は存在する。そして、「子育て支援」という大義の下で。

アルゼンチンのミレイ大統領は行政サービスを宣伝するために「無料」という言葉を使うことを禁止したように、「ふたご助っ人くじ」も「無料」ではない。「女性支援」「少子化対策」などのスローガンの元、新たな「税金チューチュー」となりかねない危険性をはらんだサービスである。

双子育児は大変だが、それ以上に現役育児世代にとって増える一方の社会保障費負担も大変なのだ。それを減らして育児世代の可処分所得を増やし、タクシー/小型ベビーカー/民間シッターなど各自が必要なサービスを購入できるような社会にすることは有効な少子化対策である。「ふたご助っ人くじ」を導入している自治体には再考を促したい。

筆者提供

筒井冨美(フリーランス麻酔科医/双子の母)

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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